YouTubeでチャンネル登録者数が100万人を超えると”ゴールドクリエイター”と呼ばれるようになります。Googleから金の盾が送られ、その他のYouTuberと比べてより豊富なビジネスの機会に恵まれます。
しかし、以前は1動画につき20〜30万回再生されていたチャンネルも最近は10万回に満たない100万人登録YouTuberが増えています。
台湾の100万人登録YouTuberは増え続けていますが、供給が多すぎて飽和状態にあると指摘する関係者が多いです。果たして、台湾におけるYouTuberの人気は本当に下降傾向にあるのでしょうか？クリエイターと視聴者の関係にはどのような変化があるのでしょうか？
ここでは台湾メディアの記事を参考に2019年1月から2020年9月までのデータを使って説明していきます。
【目次】
【データから見る】台湾YouTuberの人気は下降気味？
①100万登録チャンネルの数
100万人登録を達成した台湾のYouTubeチャンネルは、2019年には34個で、2020年には49個になりました。1年間で15チャンネル増え、44％も成長しました。
②1動画の平均再生数
台湾YouTube界全体において、1動画の平均再生数は2019年が21,735回、2020年が22,179回でした。
2019年から2020年までの1年間で0.2％しか増加しておらず、チャンネル数は増加していますが再生回数には大きな変化がありませんでした。
③1動画の平均コメント数
台湾YouTube界全体において、1動画の平均コメント数は、2019年が67で、2020年が60でした。
④100万人登録チャンネルの平均再生回数
100万人登録を達成した台湾のYouTubeチャンネルに関して、平均再生回数は2019年の410,609回から425,719回へと3.7%伸びています。しかし、100万人登録チャンネル中の下位6割のチャンネルにおいては、平均再生回数は2019年の286,640回から281,749回へと1.7%減っています。
コンテンツが飽和し、以前のように一つのコンテンツが注目を浴びなくなってきています。Podcastプラットフォームやクラウドゲームが人気を見せる中で、YouTuberはより一層視聴者を惹きつける努力をしなければなりません。
「チャンネル登録と通知ベルのクリックをお願いします」は意味のないかけ声に。
チャンネル登録者数200万人のYouTuber・Joemanは「”チャンネル登録と通知ベルのクリックをお願いします”は意味のないかけ声だ」と述べています。
市場が飽和し、他人よりも良いコンテンツを作るのが難しくなってきています。しかし、それに伴い、さらに大きな別の問題が起こっています。それは「チャンネル登録の無効化」です。彼はチャンネル登録を経済のインフレに例えて、過去の10万人登録は現在の10万人登録と同じ稀少性がある訳ではないと述べています。
この現象を説明するには、以下二つのポイントに触れておく必要があります。
一つ目は、YouTubeプラットフォームの演算メカニズムが正確すぎるため、YouTubeのトップページに視聴者が興味あるコンテンツが表示されてしまい、チャンネル登録しているページをクリックする回数が減ってしまうという点です。
二つ目は、通知ベルをクリックしてもYouTubeが通知しないことがあり意味がないという点です。YouTube側はこの状況を改善するかどうかについて表明していません。
再生転換率が悪化。100万人登録も参考にしかならず。
この状況はどのくらい深刻なものなのでしょうか？
200万人YouTuber・Joemanの直近10本の動画は平均再生回数54.4万回です。「再生転換率（平均動画再生回数/チャンネル登録数）×100」は27.2%であり、200万人登録という数字からいうと悪くないです。しかし、詳細にデータを調べると、チャンネル登録から動画を再生した人の率は3.35％であることが分かります。（つまり、ほとんどの人がYouTubeのオススメから動画をクリックしているということ）
現在、台湾でチャンネル登録数が最も多いYouTuber「這群人」の再生転換率は50％超えです。一方、古参YouTuberの一人「蔡阿嘎」は複数チャンネルを開設してアクセスが分散していることもあり、再生転換率は10%程度となっています。また、最も意外だったのは英語教育系チャンネル「阿滴英文」の4.4%です。「阿滴英文」は「これは教育系YouTuberに見られる問題です。多くの人が登録すれば英語がうまくなると考えていますが、実際に動画を見続ける人は少ないです。」と述べています。
PressPlayは以下のように述べています。現在、YouTubeチャンネルは非常に多く、視聴者に与えられた選択も非常に多い状態にあります。たとえチャンネル登録したとしても実際に視聴されるとは限らず、最終的にはコンテンツの良し悪しが重要になってきます。UGC（一般ユーザーによって作れられたコンテンツ）よりもPGC（プロによって作られたコンテンツ）が求められる時代になっていくのでしょう。