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W11とは?及びTmall(天猫)過去の売上推移
W11(ダブルイレブン)とは、毎年11月11日に開催される、中国における年間最大のECショッピングイベントです。以前は、1が並ぶことから中国では独身の日として親しまれていましたが、現在は、ダブルイレブン=ECセールイベントという認識の方が強いと言われています。
2009年にECサイト「アリババ」がW11の日に合わせた販促イベントを初めて実施しました。初回の販促イベントが非常に好調で、その後も中国市場で爆発的に広まりました。
中国のEC市場の驚異的な右肩上がりの成長の勢いが「アリババ」が運営するECモールであるTmall(天猫)の2015年〜2023年の売上高推移で分かります。
2024年W11の総売上高及び成長率
2024年W11の総売上高は1兆4418億元(約30兆7535億円、以下1元=21.31円で計算)に達しました。昨年対比26.6%増となり、例年より好調になりました。
各ECプラットフォームの実績のまとめ
総合ECプラットフォームの総売上高が1兆1093億元(約23兆6392億円)で、昨年対比20.1%増となりました。
今後はプラットフォームが分散されると予測されていますが、伝統的なECプラットフォームの売上高が2024年の総売上高の約8割を占めました。
TOP3は人気不動のTmall(天猫)、JD(京東)、拼多多(ピンドド)になります。
また、Douyin(中国版TikTok)、Kuaishouなどのライブ配信プラットフォームの総売上高が3325億元(約7兆0856億円)で、昨年対比54.6%増となりました。
そういったライブ配信プラットフォームの増加に伴い、Tmallをはじめとする伝統的なECプラットフォームが今後も衝撃を受け続けるかと予測されています。
売上金額TOP3と販売量TOP3の商品カテゴリーのご紹介
★売上金額TOP3(総売上金額;昨年対比率):
- 1位:家電製品(1,930億元;+26.5%)
- 2位:スマホ・パソコン及び周辺製品(1,706億元;+14.4%)
- 3位:アパレル(1,664億元;+21.4%)
★販売量TOP3(割合):
- 1位:日常用品(43.2%)
- 2位:アパレル(40.7%)
- 3位:スキンケア用品(35.1%)
カテゴリー別の各ECプラットフォームの売上金額増加率のまとめ
※期間:2024年10月14日〜11月5日(W11期間中)
★コスメ商品(昨年対比率):
- 1位:タオバオ・天猫(+18.3%)
- 2位:Douyin(+13.7%)
- 3位:JD(+11.3%)
★アパレル商品(昨年対比率):
- 1位:Douyin(+35.9%)
- 2位:拼多多(+20.5%)
- 3位:JD(+18.4%)
★スマホ/パソコン及び周辺製品(昨年対比率):
- 1位:タオバオ・天猫(+27.2%)
- 2位:拼多多(+26.4%)
- 3位:JD(+16.3%)
★家電製品(昨年対比率):
- 1位:タオバオ・天猫(+27.6%)
- 2位:拼多多(+16.0%)
- 3位:JD(+8.7%)
★マタニティ及びベビー用品(昨年対比率):
- 1位:Douyin(+23.5%)
- 2位:タオバオ・天猫(+22.8%)
- 3位:拼多多(+17.5%)
2024年のW11のトレンド及び傾向のご紹介
・開始時間が早くなり、キャンペーン期間が長くなる
もともとW11とは11月11日当日を指していましたが、徐々に前売り期間が設けられるようになり、一日だけのイベントではなく、予約販売や先着購入などを含めた長めのセール期間になりました。
特に、2024年のW11には最長で35日間ありました。昨年の最長26日間より、さらに9日間伸びました。
・中国政府の家電補助金施策の影響で、家電業界が特に好調
2024年W11の初日売上は昨年と比較して765%売上が増加しました。
好調の理由は、今年発表された中国政府の家電補助金施策の影響が大きいです。
中国政府は2024年8月に「家電買い替え業務のさらなる完成推進に関する通知(进一步做好家电以旧换新工作的通知)」と称し、大型家電購入時に最大2,000元(約4万円)の補助を行うことを発表しました。
各ECプラットフォームもその施策に合わせたさらにお得になるキャンペーンを実施しました。
・各プラットフォームや店舗が多数なキャンペーンを実施した一方、消費者からルールが複雑やキャンペーン前後の金額が不一致などの反面意見も顕著
ECプラットフォームや店舗が売上をアップするために、店舗クーポン、ライブ配信クーポン、定額注文の割引、秒殺キャンペーンなどのイベントを実施し、キャンペーンのルールがますます複雑になっています。
消費者側が最大の割引を得るためには、ルールの理解により多くの時間と労力が必要になっています。また、商品のキャンペーン前後の金額が不一致の問題がまだ残っているので、消費者からやや不満な声も増えてきています。
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近年、飽和状態になりつつある中国EC市場では、今後は一極集中型がなくなり、各プラットフォームが分散され、新興勢力の台頭によって、市場が変化し続けていくと言えるでしょうか。