台湾は美味しい食べ物がたくさんあるだけでなく、お茶の文化も発達しています。
「台湾茶」と聞いてすぐに思い浮かべるのは緑茶や烏龍茶ですが、台湾では紅茶も非常に人気でよく飲まれています。
今回は緑茶や烏龍茶の陰に隠れがちな台湾紅茶について、生産量、消費量、種類、現地の売れ筋商品、その価格などについて解説します。
【目次】
紅茶とは?
紅茶はお茶の葉を全発酵させて作ったものです。
緑茶、烏龍茶、紅茶の原材料は全て同じお茶の木であり、それぞれ発酵の程度が異なるのみです。
発酵させないで作るのが緑茶であり、半発酵茶を烏龍茶、全発酵茶を紅茶と呼びます。
台湾にはお茶の生産地が数多く存在しており、緑茶も烏龍茶も紅茶も作られています。
台湾紅茶の生産量及び消費量は?
2020年の中華民国農糧署の統計によると、台湾茶の栽培面積は12,266ヘクタールであり、年間の生産量は約14,341トンでした。そして、その産出額は約80億元であり、飲料茶の市場は500億元以上に達しています。
また、中華民国経済部の統計によると、台湾では毎年10.2億杯のお茶飲料が販売されており、これは1人当たりでは年間平均44杯飲んでいる計算になり、売上高は500億元に達しています。
台湾桃園県にて三代にわたり茶園及び製茶工場を経営する林和春氏によると、台湾全体の生産量の約35%が紅茶、約30%が緑茶、約15%が烏龍茶、約10%が鉄観音茶、残りの約10%が東方美人茶やその他の種類とのことでした。(これは生産量であり消費量ではありません)
台湾は茶葉の輸出も多く行なっているため生産した35%の紅茶が全て消費に回っているわけではありませんが、茶葉のお店や飲料店のメニューで「紅茶」の字を目にしないことはなく、消費量も少なくないことは容易に推測できます。
参考:[茶業]臺灣茶葉生產管理資訊平台 讓茶園管理更EASY!
台湾にはどのような種類の紅茶がある?
台湾紅茶の主な産地は、南投県、新北市三峡区、花東地域などです。気候条件や土地により味が異なります。
以下、台湾で生産されている紅茶7種類を紹介します。お土産屋さんで以下の名前を見かけたらぜひ買ってみてください。
①台茶18号
この紅茶は「紅玉」とも呼ばれ、台湾の野生茶とミャンマーの大葉種茶を掛け合わせて生まれました。主な生産地は南投県の魚池郷で、台湾で最も有名な紅茶の一つです。シナモンやミントに似た香りがする、香りと甘みを兼ね備えた紅茶です。
②台茶8号
台茶8号はインドのアッサム州ジャイプリで育成及び改良された品種であり、アッサムティーとして知られています。香りは台茶18号よりも濃厚で、インドのアッサムティーに似た甘醇な香りや麦芽の香りがありますが、苦みが強めです。そのためミルクティーに適していると言われています。
③台湾山茶
台湾山茶は台湾の山間部に自生する野生のお茶です。黄金色と赤みを帯びており、花の香りがします。一口飲むと甘みのある滑らかな味わいがし、喉越しは甘く潤いがあります。
④台茶12号
台茶12号は硬枝紅心と台農8号を交配して作られた品種であり、別名「金萱」と呼ばれています。紅茶、烏龍茶、包種茶のいずれの製茶にも適しています。紅茶にすると、葉の色は黒くて紫がかり、ミルクのような香りと花の蜜の香りがします。口に含むと苦味がしますが、その後甘みが広がります。
⑤台茶21号
別名「紅韻」と呼ばれる品種です。このお茶は花や果物のような香りがします。また、茶の色は金色がかった赤で、味わいは甘みがあり爽やかです。
⑥大葉烏龍
日本統治時代に積極的に栽培が推進された品種であり、台湾の4大名茶の一つとされました。現在、生産地は気温が高く雨量が少ない花東地域が主であり、特に花蓮県は広い栽培面積を有しており、全体の約60%を占めています。ウンカという虫が茶葉を噛むことで茶葉に化学作用が起き、蜂蜜のような香りが出ると言われています。
⑦青心柑仔
新北市三峡地域特有の品種であり、別名「柑仔」とも呼ばれています。3月から11月にかけて収穫され、主に緑茶として加工されますが、近年は三峡地域の農協がウンカに噛まれた若葉から作る蜂蜜のような香りがする紅茶を積極的に生産しています。淡い蜂蜜の香りがし、渋みはありません。
台湾紅茶、現地での売れ筋商品やその価格は?
売れ筋商品
次に、台湾で紅茶がどのように売られているのか?どのような商品が人気があるのか?などについて考えてみます。
上の画像は台湾全土に約600店を展開する大手飲料店「50嵐」のメニューです。
赤線は紅茶メニューであり、パッと見ただけでも「紅茶」と名のつく商品が多数あることが分かります。
(上記画像中の赤線メニューをピックアップ)
阿薩姆紅茶(アッサム紅茶)
冰淇淋紅茶(アイスクリームのせ紅茶)
旺來紅(パイナップルと紅茶のミックス)
波霸紅(ミニタピオカミルクティー)
珍珠紅(ミニタピオカミルクティー)
布丁紅(プリンのせ紅茶)
紅茶拿鐵(紅茶ラテ)
商品名に「紅茶」と書かれてなくても紅茶が使用されている商品はまだある可能性があります。
このメニューを見ただけで紅茶が日常的に飲まれていることが分かります。
参考:五十嵐 產品資訊
他、台湾の求人サイト”518″がユーザーに対し独自に調査を行い、2024年版50嵐のおすすめメニュートップ10を紹介しています。
50嵐のおすすめ1:8冰綠
50嵐のおすすめ2:1號四季春珍波椰
50嵐のおすすめ3:紅茶拿鐵(紅茶ラテ)
50嵐のおすすめ4:冰淇淋紅茶(アイスクリームのせ紅茶)
50嵐のおすすめ5:烏龍拿鐵
50嵐のおすすめ6:燕麥阿華田
50嵐のおすすめ7:混珠奶綠
50嵐のおすすめ8:波霸奶茶(紅茶タピオカミルクティ)
50嵐のおすすめ9:多多綠
50嵐のおすすめ10:旺來青(赤字は紅茶メニュー)
うち3つの商品が紅茶を使用した商品でした。
台湾は気候が暑いからなのか、ミルクやアイスを入れて甘くする傾向があるようです。
昼食後の暑い時間帯にデザート代わりに飲む人が多いです。
参考:2024年50嵐飲料菜單推薦喝什麼?Dcard網友推薦經典10款必喝,加碼分享隱藏點法
価格
50嵐はミドルカップが500ccで、ラージサイズが700ccです。
紅茶の価格は40元から70元程度であり、ラージサイズにするとプラス10元となります。
アイスクリームがのっていたりタピオカが入っていると価格は高くなります。
※1台湾元 = 4.74日本円(2024年4月)
紅茶は空港、観光地のお土産屋さん、町のお葉屋さん、スーパー等でも売られている
空港のお土産屋さん、観光地のお土産屋さん、町のお茶屋さん、スーパー等で茶葉を買うことができ、台湾人は日頃から紅茶を家で飲んでいます。
近年の台湾は物価高騰が激しく為替レートの変動も大きいので紅茶の値段を一概に述べることはできません。
ブランドものの台湾茶(凍頂烏龍茶)と比べると紅茶は比較的安く買えることで知られています。
また、台湾の大手ECサイト「momo」で「紅茶」と入力して検索したところ、多くの紅茶商品(茶葉)が表示されました。
台湾産の紅茶以外では、英国ブランドの紅茶もちらほら見られました。
ざっと見たところ茶葉の値段は100gで400〜500元といったところ。
もちろん品質やブランドによって値段は大きく異なります。