2021年の台湾デジタルマーケティング界隈を振り返る

コラム 台湾

 

アメリカの市場調査会社eMarketerのレポートによると、2021年のデジタル広告の世界市場での売上高は4,553億米ドルに達し、2020年と比較して約20.4%増加すると推測されました。ここでは2021年の巨大なデジタル広告市場を振り返り、台湾やアジアでの状況に焦点をあて、これらのメディアがどのような役割を果たし、どのような利点があったかについてまとめていきます。

焦点1:FacebookとInstagram

2021年10月、フェイスブック社は社名をMetaに変更しました。Meta社はFacebookとInstagramというソーシャル界の二大メディアを抱えており、2021年時点での台湾でのユーザー数はそれぞれ約2,040万人と923万人でした(台湾の総人口は約2300万人)。台湾ではこれらメディアの使用頻度が高く、長らく広告主にとって人気の宣伝媒体でした。

しかし、近年トラフィック数が徐々に減少し、インプレッション数も低下し、ユーザーのプライバシーに関わる問題も浮上してきています。FacebookとInstagramはデジタル広告市場でのシェアの大部分を占めているにもかかわらず、広告主はその予算を他の媒体に振り分け始めています。データによると、FacebookとInstagramへの広告出稿数は2020年と比較して大幅に減少しました。

将来的には、広告主はFacebook Live Audio Room、Instagram Storiesなどの新機能の効果を試しつつ、他のメディアに予算を移していくものと予想されます。

焦点2:LINE

台湾におけるLINEのユーザー数は2100万人で、台湾のソーシャルメディアではユーザー数第1位となっています。近年、消費者の生活圏に深く入り込む事に成功し、企業が広告を出す際の主要な選択肢となっています。2021年には、台湾におけるLINE Ads Platformの広告量が2020年と比較して50%以上増加しました。

アメリカマーケティング協会(American Marketing Association)の統計によると、新規顧客の獲得コストは古い顧客の維持コストの5倍と言われています。しかし、LINE公式アカウントの1対1でやり取りできるチャットやクーポンやショップカード機能などは無料で使用できます。台湾における2021年のLINE公式アカウントの数は2020年の2倍となっており、会員獲得及び管理のための最高のツールとして多くの広告主に利用されています。

焦点3:Google

検索プラットフォームNo.1であるGoogleは、消費者に対しGoogleマップ、Gmail、YouTubeなどのさまざまなオンラインサービスを提供しており、キーワード広告、マルチメディアネットワーク広告、ショッピング広告、YouTubeビデオ広告、Google Play広告など様々なマーケティングツールを提供しています。Googleは2021年のデジタル広告市場におけるシェアが29%を占め、デジタル広告界の王者であることが確認されています。

また、広告主は上記Googleのツール以外にもSEOにも引き続き注力しており、オーガニックな検索需要(自然なニーズ)を重視していることが分かっています。

焦点4:ASA(Apple Search Ads)

ASA(Apple Search Ads)は、Appleの検索広告であり、AppStoreのアプリケーション検索広告サービスです。 Appleは、App Storeのアクティブユーザーの70%が「検索」を通じて新しいアプリを見つけ、全体のダウンロードの65%がApp Storeの検索からのものであると公式に述べています。ASAの平均コンバージョン率は、50%と高いことがわかります。

広告測定会社のBranchによると、Appleが2021年にATT(App Tracking Transparency、アプリトラッキング透明化)ポリシーをリリースした後に、消費者がApple Search Adsを介してアプリをダウンロードした数が17%から58%へと大幅上昇したことが分かっています。以上のことから、ASAはデジタル広告市場において大きな可能性を秘めており、広告量も増加していることが分かりました。

台湾、香港、マカオにおけるASAサービスのApple公式パートナーであるJess Adway氏は「ASAを利用する広告主がだんだんと増えてきている。統計によると、2021年のASA広告量は2020年年と比較して10%近くも成長している。」と述べています。

焦点5:Podcast

過去2年間、コロナの流行によりサウンドメディアが台頭し、多くの業者やクリエイターが参入してきました。ポッドキャストはデジタルメディア業界の新しいスターであり、2021年はポッドキャストブームが起こりました。統計によると、2021年の世界におけるポッドキャストユーザー人口は約3億8400万人で、2020年の同時期と比較して約15%増加していたことが分かっています。また、専門家は2024年にはユーザー人口が5億人に達すると予測しています。台湾のユーザー人口の割合は、2021年5月に全人口の20%に達し、台湾の5人に1人がポッドキャストを聴いていることが分かっています。

リスナーの数が年々増加し、リスナーの使用頻度が高く、プログラムとリスナーのつながりが深いという特徴があります。これにより、ポッドキャストはブランドや企業に選ばれる広告メディアの一つとなっています。一般的な配置広告の出稿に加えて、ますます多くのブランドや事業主が、独自のプログラムの制作に投資しています。例えば、天下雜誌(台湾のビジネス誌)が運営する《聽天下:天下雜誌Podcast》や傑思·愛德威氏が運営する《Jason好好聊》などの人気プログラムがあり、企業の商品とリスナーの間の距離を縮めることに成功しています。

焦点6:tiktok

中国発のソーシャルプラットフォーム「TikTok」は海外版が定着し、ユーザーがクリエイティブなビデオをアップロードすることによって、瞬く間に流行しました。最新の統計によると、TikTokは2020年にはトラフィック数で7位にすぎませんでしたが、2021年には王者Googleを打ち負かし、世界で最もトラフィックの多いウェブサイトになりました。

Googleは2021年に世界で2番目にトラフィックの多いWebサイトになり、3位以降はFacebook、Microsoft、Apple、Amazon、Netflix、YouTube、Twitter、MetaインスタントメッセージングソフトウェアWhatsAppというように続いています。なお、Meta(フェイスブック)が所有するソーシャルメディアアプリInstagramは2021年にトップ10から脱落しWhatsAppに置き換えられました。

2021年の9月、TikTokは月間アクティブユーザー数が10億人を超えたことを発表しました。

ドナルド・トランプ前米大統領が就任したとき、彼はTikTokやWeChatなどの中国のアプリをブロックすると述べ、TikTokの親会社であるByteDanceに90日以内に米国の資産を売却するよう要求しました。当時、Oracle(Oracle)とByteDanceがTikTokの米国事業を買収し、新しい独立企業「TikTokGlobal」を設立することに合意したというニュースが流れました。

しかし、政権交替後の2021年2月には、バイデン政権が裁判所に取引を一時停止するよう要請し取引を「無期限に保留」にしました。

New York Timesは、2020年8月に、TikTokの月間アクティブユーザー数が1億人を超え、そのほとんどが13歳から19歳までの10代の若者であると報告しました。 市場調査会社Comscoreによる2019年12月の調査によると、英国では18〜24歳がTikTokの主なユーザーということが分かっています。

参考記事:https://www.bnext.com.tw/article/66704/2021-social-media-top5

参考記事:https://www.bnext.com.tw/article/66942/tiktok-2021-best-digi

 

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