台湾が新型コロナウイルスの感染抑制に成功した理由

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2020年4月17日現在、新型コロナウイルスの感染者は世界的に増え続けています。
そんな中、お隣台湾では4月14日と4月16日の新規感染者数がゼロとなりました。
世界で感染者が増え続ける中、なぜ台湾は感染抑制に成功したのでしょうか?
今回は、台湾の成功の理由をまとめました。

■台湾の現状(4月17日時点での感染者数)


4月17日現在、台湾の感染者数は395人、死亡者数は6人となっています。
うち、340人が台湾以外で感染した者であり、55人が台湾内で感染した者です。
現在、155人がすでに退院しており、日常生活に戻っています。

また、冒頭にも書いたとおり、4月14日と4月16日は新規感染者数がゼロでした。

台湾は自粛要請や都市封鎖がされておらず、海外との往来がない以外は正常に経済活動が行われています。

衛生福利部疾病管制署

■台湾が感染抑制に成功した理由

では、なぜ台湾は感染抑制に成功したのでしょうか?
ここでは、その理由をまとめていこうと思います。

理由①:SARSの経験


2002年から03年に東アジアで流行したSARS(サーズ)が蔓延した際、台湾では73人が亡くなりました。
当時の痛い経験があるため、台湾は政府から市民一人一人まで、感染症への警戒心が非常に高い状態にあります。
そのため、市民一人一人の協力のもと、下に列挙した対策がスムーズに機能したのです。

理由②:各分野のプロを大臣に起用


台湾では各界のプロが大臣に登用されています。

1人目は、日本でも話題になったIT担当大臣の唐鳳氏です。
唐鳳氏は天才ITエンジニアです。
今回は自らが中心となり、薬局におけるマスクの在庫状況が一目でわかるアプリを開発するなど、台湾の防疫に貢献しました。

2人目は、衛生福利部大臣(厚生労働省に相当)の陳時中氏です。
陳時中氏はもともと歯科医師であり、ヘルスケア分野に精通しています。
メディアを通して早くからCOVID-19に関する正確な情報を伝えてきたため、市民は正しく備えることができました。

3人目は、経済部部長(経産大臣に相当)の沈栄津氏です。
沈栄津氏は電気工学やオートメーション化技術を学び経済部に入省した官僚出身の大臣です。
今回はマスクの生産量を高めるため、台湾中の工作機械組合、精密機械センター、マスク生産業者、紡績所、その他研究団体など30以上の企業と組織をまとめ上げ、大量生産体制を築き上げました。
結果、現在台湾は1日に1300万枚のマスクを生産することができるようになりました。
これは、世界第2位のマスク生産量となります。

最後は、台湾総統の蔡英文氏です。
蔡英文氏は総統という立場上、外交に関わる大きな決定を下すことができます。
今回は世界のどこよりも早く入国制限を行うなど、的確でスピーディな対応をしました。

理由③:WHOに加盟していない


今回はWHOに判断ミスがあり、それにより世界に感染が拡大したと言われています。
実は、台湾は国として認められていないためWHOに加盟できていません。
そして、皮肉にもWHOに加盟していないことが功を奏して、WHOの判断ミスに引きずられることがありませんでした。

理由④:検査・追跡・隔離の徹底


台湾は早い段階から大規模な検査と追跡を行なっています。
感染者が見つかった場合、接触者をさかのぼり、全ての人を検査・隔離しています。

また、虚偽の報告をした者には数百万円程度の罰金を課しており、取りこぼしがないよう工夫してきました。
ほか、海外から入台した者に対しては、早期から14日間の隔離措置も行なっています。

理由⑤:データとテクノロジーの利用


データとテクノロジーを駆使して、正確且つ効率的に患者や隔離者を管理できているというのも理由の一つです。
台湾は税関の入国データベースを14日間の自宅隔離システムおよび追跡警告システムと統合させました。

これにより、スマホのGPS情報を通して、検疫範囲から離れた自宅隔離者の情報が管理組織に通知されるようになっています。

<参考>
CNN:當各國政府焦頭爛額,台灣做對了

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