政府戸籍統計によると、2022年1月末時点の台湾の総人口は2334万9666人でした。
これは前年同月比で19万8967人の減少であり、前月比では2万5648人減少しています。
また、新生児は2017年に19万3855人生まれていますが、2021年は15万3820人しか生まれませんでした。
この通り台湾の少子化は年々悪い方向へと進行しています。
しかし子どもの減少とはうらはらにペットの数は年々増えています。
理由としては、少子化やコロナ禍での自宅で楽しめる趣味の需要増加が挙げられます。
今後も伸び続けると予測されている台湾のペット市場について、以下でデータを使って解説していきます。
【目次】
2021年の台湾のペット(犬と猫)の数は295万匹。今後も増加する見通しです。
以下は時勢公司とが発表したデータです。
年 | 登録済みの犬と猫の数
(万匹) |
0〜15歳の子どもの数
(万人) |
2011年 | 190 | 350 |
2013年 | 232 | 335 |
2015年 | 228 | 319 |
2017年 | 251 | 309 |
2019年 | 273 | 296 |
2021年 | 295 | 284 |
上記の犬と猫の数に関しては登録されている数になりますので、実際はもっと多いはずです。
このデータを見ると、2019年から2021年にかけてペットの数が子どもの数を抜いたことが分かります。
なお、台湾経済学院は2025年までに台湾のペットの数は400万匹に、0〜15歳の子どもの数は250万人に達するだろうと述べています。
以下は台湾で登録されている犬と猫の数の推移です。
台湾では猫よりも犬の方がペットとして多く飼われています。
年 | 登録済みの犬
(万匹) |
登録済みの猫
(万匹) |
2011年 | 124.1 | 30.2 |
2013年 | 174.1 | 57.8 |
2015年 | 171.4 | 56.7 |
2017年 | 177.7 | 73.3 |
毎年比率は異なりますが、台湾では犬が猫の2.5〜4倍ほど多いということが分かります。
参照記事:循環性毛孩經濟,帶來寵萌大商機
参照記事:我國伴侶動物保健產業發展現況與趨勢
2021年の台湾のペット市場の経済規模は約590億台湾元。
以下は中華民国内政部、動物保護資訊網、富果研究部が整理したデータです。
年 | 一人当たりGDP
(米ドル) |
出生人口 | ペット数
(万) |
ペット市場の経済規模
(億台湾元) |
2018年 | 25,838 | 181,601 | 240 | 480 |
2019年 | 25,908 | 177,767 | 283 | 566 |
2020年 | 28,383 | 165,249 | 290 | 580 |
2021年 | 32,787 | 157,492 | 295 | 590 |
冒頭でも述べた通り、台湾のペットの数は年々増えてきています。
それに伴い、ペット市場の経済規模も順調に伸びており、2018年比で2021年は122.9%の増加でした。
2021年の経済規模は590億台湾元であり、これは日本円に換算すると2729億円ということになります。(2022年7月のレートで換算)
日本のペット市場の規模は1.6兆円と言われているので、台湾市場は日本市場に比べると小さいです。
ただ、これからも台湾人の一人当たりGDPは増加し続け、市場規模も伸びることが予想されるので、期待できる市場と言えるでしょう。
なお、2021年に資策会産業情報研究所が実施したペットの消費行動に関する調査によると、女性の飼い主は男性の飼い主の1.7倍であり、ペットに関する支出は月平均5,000台湾元で、年平均60,000台湾元になることが分かりました。
参照記事:毛孩比小孩多 逐漸崛起的寵物商機
ペット市場のうち食品小売が最大規模を占める。ここ数年はドライタイプから新鮮食品へと人気が移り変わる。
ペット市場では食品市場が一番売上規模が大きいです。
最新の財政統計によると、2018年のペット食品小売売上高は60億7750万5千台湾元であり、2021年には78億6323万1千台湾元に達しました。
現在は国外メーカーからの輸入品の消費が多く、具体的には、Evermore、Freshpet、Just food for dogs、Nomnomnow、Ollie、Petplate、The farmer’s dogなどが好まれています。
ただ、ここ数年の傾向として、ペットの餌は伝統的なドライタイプから、新鮮食品へと人気が移り変わっています。
加工が少ない天然食品で、栄養価が優れていて、健康的なものが好まれる傾向にあるのです。
新鮮食品の輸入品は冷蔵や冷凍のコスト、運送コストなどが多くかかります。
よってここ数年は福壽、大成などの台湾国内のメーカーが新鮮食品の開発に乗り出しており、東森寵物雲などの流通業者も参入してきています。
これらメーカーはサブスクサービスを打ち出し、食品をペットに合わせてカスタマイズするとともに、冷蔵コストや在庫の問題を解決しつつ、新鮮な食品を顧客に安定的に届けることに成功しています。
飼い主の購買行動について
ペット製品の購入ルート
こちらは台湾経済研究院生物テクノロジー産業研究センターが2018年に調査した数字です。
台湾人は以下の場所でペット製品を購入することが分かりました。
ペットショップ:57%
獣医:39%
インターネット:25%
量販店:12%
スーパー:4%
その他:4%
ただし、上記の数字は2018年のものですから、現在はインターネットショップを利用する人の数が増えている可能性はあります。
ペット製品を購入する際に考慮する点
こちらも同じく台湾経済研究院生物テクノロジー産業研究センターが2018年に調査した数字です。
台湾人は以下の点に留意してペット製品を購入することが分かりました。
ペットの健康状況や病歴:58%
安全性:56%
効果・効能:35%
認証:31%
獣医の推薦:31%
価格:27.8%
この調査結果から、パッケージデザイン、国産か否か、輸入品か否か、製品形態、友人の推薦、店舗の推薦などはあまり考慮されないことが分かりました。
参照記事:我國伴侶動物保健產業發展現況與趨勢
よく売れている健康関連商品
上の表も台湾経済研究院生物テクノロジー産業研究センターが2018年に調査した数字です。
以下に日本語にして解説します。
体重制限:犬40.4%、猫31.0%
皮と体毛:犬65.0%、猫31.2%
老化防止:犬39.6%、猫27.2%
腎臓:犬18.8%、猫46.4%
骨格関節:犬80.5%、猫22.6%
肝臓:犬19.3%、猫16.2%
歯:犬55.3%、猫30.2%
視力:犬38.3%、猫20.1%
呼吸器官:犬22.1%、猫28.4%
胃腸:犬60.4%、猫45.9%
生殖器:犬19.3%、猫39.1%
心臓血管:犬32.5%、猫19.8%
メンタル:犬15.0%、猫33.2%
その他:犬0.3%、猫1.0%
参照記事:我國伴侶動物保健產業發展現況與趨勢
多様化するペット関連ビジネス
時代の変化に伴い、近年はペット保険、ペット用SPA、ペット用のスマートデバイスなども売れ始めています。
また、飼い主が旅行に行く時などに利用するペット用ホテルも徐々に増え始めています。