IMD「世界人材ランキング2021」、台湾は過去最高の16位!

コラム 台湾

IMD「世界人材ランキング2021」、台湾は過去最高の16位!

 

スイスの国際経営開発研究所(IMD)が発表した「世界人材ランキング(World Talent Ranking)2021」で、台湾は調査対象の64カ国及び地域中16位だった。去年は20位だったので4位も順位が上がったことになり、過去10年で最も高い順位だった。

アジアでの順位は香港が11位でトップ、シンガポールが12位で二番目で、台湾はこれら2つに次ぐ3位だった。ちなみに、韓国は34位、中国は36位、日本は39位だった。

今年の台湾に対する評価は「人材への投資と発展」「人材を引き付ける魅力」「人材のレディネス(準備度)」の三つの分野において去年より大きく得点を伸ばしており、具体的にはそれぞれ5位、4位、6位も順位を伸ばしている。台湾はコロナ禍においても安定した労働市場を維持し、国内人材の育成を継続的に行い、海外人材の獲得にも力を入れ、医療衛生に関しても良好な環境を確保してきた。こうした要因が今回の高順位につながったと言える。

「人材への投資と発展」は去年に比べて5位上昇し、全世界で20位に

「人材への投資と発展」はその国が行う人材への投資の程度を評価するもので、合計で8つの指標に分かれている。今年は全体的に評価が上がっており、「学徒制」と「企業が重視する従業員のトレーニング」の項目でそれぞれ8位と7位ずつ上昇している。これらは台湾にとって過去最高のランクであった。

台湾の企業は「人材への投資と発展」を重視するようになってきている。また、政府も産学共育を積極的に促進しており、専門的で実務的な技術を備える人材の育成に力を入れており、産業界での活躍を目指している。技術の継承や産業の創造という点において他の多くの国よりも優れた結果を出している。

台湾が比較的弱かった項目としては、「公共教育支出/GDP」が挙げられ、これは前回より5位も後退している。デジタル学習の需要が高まっており、昨今は150億元を投入して学校に高速インターネットを取り付けるなどしている。また、今後の4年間についても更に200億元を投入して小中学校のデジタル学習を推進しようとしている。具体的には、政府は「1つのクラスにネットを、1人の生徒にタブレットを」という目標を掲げており、ほか、二ヶ国語教育にも力を入れるなどしている。

「人材を引き付ける魅力」は去年に比べて4位上昇し、全世界で22位に

「人材を引き付ける魅力」は人材の誘致や引き留めのための努力及び成果を評価するもので、合計で11の指標に分かれている。台湾はそのうち「従業員の士気」の項目において比較的優勢であり、5位もランクを上昇させた。全世界でコロナが流行する状況下では、従業員は日々の隔離やリモート勤務による疎外感が増加しており、企業の安定性や社会の団結力などを維持することが必要とされており、この項目はとりわけ重要な項目と言える。

この他、「人材流出」「外国籍技術者の吸引力」「人材の採用と引き留めの企業における優先順位」の項目では、それぞれ13位、9位、7位も上昇し、35位、38位、27位にランクインした。近年、政府は「産業創新条例」「会社法」などを改定し、企業従業員の報酬や納税優遇に関する条件を緩和し、台湾からの人材流出を防ぐよう努力している。他、「外国専業人才延攬及僱用法(=高度外国人材の誘致及び雇用に関する法律)」を推進することにより、外国籍人材の就労や居留に関する制限を緩和したり、納税及び社会保障などの権益を優遇化している。

「人材のレディネス(準備度)」は去年に比べて6位上昇し、全世界で9位に

「人材のレディネス」はその国の人材資源の充足度を評価するもので、合計で12の指標に分かれている。台湾が特に優勢だった項目は「科学教育卒業生の比率」と「教育評価(PISA国家研究センター)」であり、それぞれ5位と8位にランクインし、いずれも去年の水準を保つ結果となった。

また、「技術労働」「金融人材」「マネージャーの国際経験」「経済競争のニーズに応じた大学教育」「企業のニーズに応じた管理教育」「企業のニーズに応じた外国語人材」などの6項目も大きく上昇していた。政府は国際競争力を高めるためデジタル人材の育成に力を入れており、国外の専門人材の獲得にも積極的だ。また、外国語能力や国際的な視野も重視しており、各分野において努力を継続している。

アフターコロナの時代には今とは違う新しい経済局面を迎えるため、台湾は新しい時代に応じた優秀な国内人材を育成し、優秀な海外人材を多く迎え入れ、新たなサプライチェーンを創造する必要がある。

参考記事:2021年IMD世界人才排名出爐,台灣奪全亞洲第3!近10年最佳表現贏過日韓

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