2020年国慶節の旅行から見る中国NO1の「ガッカリ名所」

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中国では2020年10月1日から8日間の大型連休である「国慶節」がありました。
コロナウィルス騒動からほぼ回復しつつある同国において、国慶節期間の旅行消費額は経済回復の指標として注目されておりました。

結果として期間中に人口の45%以上となる約6億3700万人が国内旅行を楽しみ、消費額は4666億元(約7兆円)となったようです。
参考:https://www.travelvoice.jp/20201012-147274

これは昨年同期比では、旅行件数が21%減、消費額が30%減とマイナスとなっているが、5月の連休は国内の観光収入は前年比60%減となっていたことから見ると、確実に回復傾向にあるようです。

ちなみに、日本は2019年全体の国内観光市場は21.9兆円(訪日外国人旅行者は除く)とのことで、昨年比30減ながら日本市場の1/3を国慶節期間だけで消費する中国市場は本当に大きい市場です。
※国内市場の参考データ:観光庁「令和2年版観光白書について(概要版)」

そんな大きな国慶節での中国の旅行市場において、現地メディアに面白い記事がありましたので、一部翻訳しながら紹介したいと思います。

※参照元:全国最坑景点,它排第一(中国語の記事です)

中国のインターネット上の掲示板やSNSへの書き込みで旅行で観光地に行ったけど、困っている人の声が多かったため、我々は、この国慶節で各SNSにおけるネットユーザーによる「行かないと後悔するかもしれないが、行ったらきっと後悔する観光地」というツッコミを集めて、それを元に「全国各地のガッカリ名所のガイド」を作ってみましたので、ご紹介させていただきたいと思います。みなさんもぜひご参考にしてください。

全国の「ガッカリ名所」は一体どこにある?

知乎と虎撲における「ガッカリ名所」に関する話題のコメントを参考にし、私たちは国内で「ガッカリ名所」と称せられる都市のTop.10をここで整理して見ました。(データは、虎撲の「有哪些地方不去後悔,去了更後悔?(行かないと後悔するかもしれないが、行ったらきっと後悔する観光地)」、および知乎の「最讓你失望的国內旅遊城市或者景點是哪裡?(最もガッカリさせた国内観光都市または観光スポットはどこですか)?」という2つの話題におけるすべての回答によるものです)

その中で、「厦門、西安、桂林」が最も多くのツッコミを浴びており、Top.3に選ばれたことがわかりました。続いて、Top.4~10は「麗江、杭州、北京、蘇州、重慶、南京と成都」という順です。

では、なぜこれらの都市が選ばれましたでしょうか?この疑問を抱えながら、もう一歩踏み込んで、「行ってみて、最も後悔した観光地」に関するデータを確認して見たところ、その答えも概ね分かってきました。

まず、最も多くのツッコミを受けたのが「厦門の鼓浪嶼」というところです。ロマンスの溢れる鼓浪嶼の島風景で、夢を見させて多くの若者観光客を魅了しました。しかし、100以上もの関連コメントからみると、鼓浪嶼旅行がほぼ幻滅の旅だ、という人の方がほとんどでした。みんなは実体験で、「厦門の鼓浪嶼」はロマンスの夢を叶える場所ではないことを教えてくれました。

特に、春節の帰省大移動現場とも同様なレベルの混雑を見せた「輪渡碼頭」(船に乗る場所)、そして島に到着した後の数えきれない観光客、さらに昔ながらの古い街並みにあるタオバオの実店舗など、鼓浪嶼における過剰開発は我々に「累覚不愛(疲れ切っていて、もう二度と愛することができなくなりました。つまり大失望である)」を肌で感じさせました。

「鼓浪嶼はわざわざ旅行にくるべきところじゃない」と多くの現地の人ですらそう思っているようです。

「厦門の光」から誰もがいやになる「ガッカリ名所」の例は、鼓浪嶼という観光スポットだけではありません。西安の最も有名な観光スポットである「兵馬俑」の名も上位に浮かびました。“食之無味、捨之可惜(食べたら味がしないが、捨てるのも惜しい。進むも退くも難しいという意)”、“テレビでみたのと大した変わらない”、“俯瞰だけは許させれる…大型フィギュアそのもので、もっと近くで見たいのに」…

武漢の黄鶴楼というところもディスるべきではないかと思います。「故人西辞黄鶴楼」、「此地空余黄鶴楼」など多くの有名な漢詩のおかげで、黄鶴楼は文化IP(知的財産権)の優位を持っていると言えます。

ところが、懐古心を抱えながら、1985年に再建された黄鶴楼に来ていた観光客たちが見たのは、エレベーターが設置されており、中に書画しか売っていない、現代風のコンクリートタワー、という風景でした。

さらに、コメント欄で見かけた回答により、小学校6年生の時に、黄鶴楼に遊びに行った人がいました。その時、黄鶴楼の3階で見つけたのは、男性用のパンツが売られている売店でした。しかも、「男性増大パンツ」と書かれていたという。想像だけでもわかるように、「天下第一楼」と「天下絶景」という黄鶴楼古来の奥深く上品な雰囲気が一瞬にして無くなりました。

様々なツッコミの中で、非常に文句を多く集めた観光地がありました。それは、全国各地にあるにも関わらず、特徴なく同じように見える「古鎮(古い町)」と「古城(古い都市)」です。「『小商品の都』とも呼ばれている浙江省義烏市の小商品や、羊肉の串焼きを販売している、いくつかの年代のすこぶる古い建物内で、自由に歩けないくらい大勢の観光客がいる」というのが、「古鎮」と「古城」に対する最も深い印象だったようです。

古城の風景と似たようなところは、数多くの「小吃街」や「巷子」(日本で言えば屋台村とか、フードコート)があります。「ガッカリ名所」の上位20のうち、西安の回民街、南京の夫子廟、重慶の磁器口、成都の寬窄巷子、北京の南鑼鼓巷と武漢の戸部巷はこのタイプに属しています。

「これらの街の食べ物が美味しくもないし、面白くもないし、値段も安くもありません。しかも違うところにあるのに、同じように感じて、つまらなかった」と書いているコメントが多数ありました。

これらの「ガッカリ名所」は旅行に対する私の小ブルジョワの夢を粉々にした

では、これらの観光名所は、人間をどのようにガッカリさせたのかについて、具体的に説明したいと思います。

私たちは、数千人のネットユーザーの上記の観光地に対するツッコミの内容を集計しました。異なるキーワードの出現回数により、これらの「ガッカリ名所」における観光客をガッカリさせた最大な原因をいくつかを見つけ出しました。

一番大きかった原因は、高い旅費です。「チケット」「有料」「価格」などのキーワードがとても多く目立ちます。

国内観光地のチケットが高いというのは珍しいニュースとは言えません。「ガッカリ名所」のTOP. 20に入る「華山」の入場料は160元(約2600円(1円=0.063元・2020/10/11 16:48 以下同様)、に達します。また、先程挙げた、みんなに散々突っ込まれた「古鎮」の場合、西塘古鎮は80元(約1300円)、周庄は100元(約1600円)、烏鎮の西栅は150元(約2400円)です。

中国社会科学院観光研究センターが発表したデータによると、5A級観光スポットのうち、約半分のチケットの値段は100~200元の間に設定されており、また、統計の範囲内には、16箇所の観光スポットの料金は200元以上(広州市長隆観光リゾート、鷹潭市龍虎山観光地、張家界市武陵源の天門山観光地など)であることが判明しました。

チケットが高いというのは原因の一つではありますが、人気観光地の消費水準も低くなくて、さらに観光客に過剰請求行為も多く存在していると言われています。例えば、桂林の象鼻山公園について、多くのコメントで書かれれいるように、「現地民なら、入場料は2元(約32円)ですが、そうでない人は75元(約1200円)を支払わなければいけません。完全な地域差別です。」という。

観光地での必要な出費が高いほか、「軽食」、「商業化」、「開発」、「ゴミ」、「サービス」などの出現率の高いキーワードから見ると、観光スポットが価格設定に関しては全く容赦ないが、その割には、サービスが全く追いついていないという現状を示しています。

古鎮と、歴史文化街を例にとると、まさにツッコミのその通りです。多くの古鎮はただ古い様式を真似した擬古建築で、その上、屋台を羅列するという、金儲けを最大の目的とした計画の一環に過ぎず、文化的だとか、特徴的だとは全く関係のない話だと言えるでしょう。我々も、こういった古建築遺跡や、自然景勝地内で、エレベーターなどの現代風設備や、周囲の環境に明らかに合わないストアやチェーン店をしばしば見かけるのではないでしょうか。

その上、だまされた実体験をシェアしたネットユーザーも多くいて、その話に、我々の心が痛くなってはいましたが、あまりにも面白い話でもありますので、思わず吹いてしまいました。

「一番がっかりした観光スポット」という話題におけるコメントの中で、@someoneさんは西安と兵馬俑に関連する実体験を書きました。ある日、@someoneさんは列車を降りた瞬間に、すぐに赤い腕章をつけている現地のガイドのように見える人に、兵馬俑の観光スポットに連れて行かれました。だたそれだけでなく、連れて行かれた偽の観光スポットの入り口にもものすごい行列ができいました。さらに、@someoneさんがそのあとの数ヶ月後に「朋友圈(モーメンツ、FBに類似した機能)」での投稿写真を見て、自分が偽の観光スポットに行って、偽物のためにお金を払ったことに気づいた、というのがオチでした。

もし、特定の祝祭日でしたら、大勢の観光客が殺到することで、もともと規制のゆるい観光スポットがさらに混雑したり、値上げ現象が悪化したりするなど、有名であることに期待してやってくる観光客に大きな衝撃を与えかねません。

結局、「売家秀(販売側の宣伝用イメージ)」と「買家秀(既に入手したお客様から提供した実物写真)」の差(つまり理想と現実の差)、が大きすぎるのが根本的な原因でしょう。観光客は高い旅費を負担しているが、目的地に着くと、これだけ?という結果しか得られないのが現実です。

その上、私たちは「最もガッカリした海外旅行先」のランキングを統計しました。ファッションの都であるパリ、芸術の雰囲気が溢れるヨーロッパ、水城ベニスがTop. 3にランクインしました。意外なことに、サービスで有名な日本などもランクインしています。

コメントを閲覧することで、ツッコミを浴びたこれらの海外の観光地にも、誇張した、あるいは誤解を招きやすい宣伝、都市環境保護、観光客に対する過剰請求などの問題が存在していることがわかりました。

繰り返しになりますが、これらの観光スポットの宣伝により、観光客の期待を大きく膨らませることに成功することは予想できますが、結局のところ、実物はその名声と一致することができないのも現実です。

「ガッカリ名所」はいったい誰のせい?

実は、「ガッカリ名所」に関するコメントの中で、多くの人々もいくつかの疑問を持っています。「観光客は旅行攻略をちゃんとしてからくるべきだ」「歴史や文化を知らない観光客に、これらの観光スポットを見学させるのは豚に真珠」「ただ観光客が多いせいだよね、何もかも観光スポットのせいにするのはどうでしょうね」…

我々はそう思っていません。

数年前に、西安で「偽兵馬俑」の騒ぎがあった時、多くの観光客が騙されないように、西安に行く前に必ずネットで下調べをするようにしていました。その下調べに関しては、駅から観光スポットまでの間、詐欺師をどういう風に見破るか、そしてどう避けるかのが含まれています。

また、石家荘にあるパクリの獅身人面像もあります。その生き生きしている目つきは本物と比較しても負けないくらい素晴らしかったです。本当に泣くにも泣けず笑うにも笑えません。

さらに、この2年間で、各地で膨大な資金を投じて作られたインスタ映えスポットである「天空の鏡」があります。宣伝文章と写真を見る限りでは、行かないで必ず後悔する仙境だと言われています。「天空の鏡」の上に立つのがまるで空の上にいるようで、またその上で歩くのも、雲に上に漂っているように感じます……

しかし、実際にそこに行ったら気づくが、ただの足跡が満遍なくついている汚ったない一面の鏡にすぎません。その上、騒々しい人の声が聞こえるほか、ポイ捨てされたペットボトルも見られます。行かないと後悔する仙境ではなく、行ったら後悔する地獄です。

もし、ある都市や観光スポットの旅費が高いだけでなく、行く前に十分な旅行攻略をする必要性があり、さらに、騙されないように詐欺師の見分け方や、ぼったくりから逃げる方法をあらかじめ身につけたら、「ガッカリ名所」を回避できるとしたら、そこに行く意味というのはどこにありますでしょうか。

なので、みんなが「ガッカリ名所」に足を踏み入れないように、我々は心を込めて、みんなが「推薦したい一番いい旅行先」をリストにしてみました。(データは、知乎の「中国有什么好玩又冷門的地方?(中国には何か面白い穴場的なところがあります?)」「国内有哪些不錯的小衆旅遊地?(国内には何かいい穴場的な観光地があります)?」「国内有哪些尚未過度開発的景點值得一去?(国内にはまだ過剰開発されていない、行く価値のある観光スポットというのはあります?)」、この3つの話題に対するすべてのコメントによるものです。)

ここであげられたTop.3は、新疆、雲南、四川でして、みんなの中で最も行くべき観光地になります。

このリストの中には、人を最も驚き喜ばせる地域と都市を羅列した以外にも、その推薦した理由のポイントを絞り出しました。例えば、新疆に行くとしたら、伊犁の景色と賽里木湖を見逃してはいけません。四川なら、そんなに有名ではありませんが、独特な風景を有する牛背山に行ってみては損することはありません。

これらの観光地や観光スポットの共通点は、比較的に穴場である、というところにあります。

確かに、これらの穴場的な観光スポットは風景からいうと、人気スポットより美しいとは限らないかもしれません。ですが、穴場的なところには、誇張宣伝などが少なく、観光客数も比較的少なく、我々の期待を裏切ることも少ないと思います。

もちろん、我々はこれらの穴場的ないいところが、早く人気スポットになって欲しいと望んではいません。

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