中国第11回「ダブルイレブン(W11 / 双11)」のデータ分析

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2019年11月11日に開催された中国の最大ネットセール「ダブルイレブン(W11 / 双11)」は、総取引額が2684億元(日本円で4兆1602億円)と最高記録を更新して幕を閉じました。今回は単刀直入に、世界の注目を集めたこの「ダブルイレブン(W11 / 双11)」をデータに基づき、さらにを深掘りしたいと思います。(以下のデータは全て百度APPによるものです)

全国で話題!ダブルイレブン
百度2019ダブルイレブンビッグデータ報告書

 現在、「ダブルイレブン(W11 / 双11)」は多くのeコマースの参加によって、独身者のために作られた「独身の日」から、全国民が気軽に参加できる「ネットセールイベント」に変わりつつあります。現状として、多くの中国人はなるべく安く購買できるように、ダブルイレブンの一ヶ月も前にネット検索やニュースを通してダブルイレブンに関する情報を手に入れ、ネットショッピングに無我夢中になっています。こんなに魅力的で神秘的で、中国で奇跡を起こしたイベントは、実に興味深くて思わず色々と考えさせられます。一体みんな何を買っているのでしょうか?各eコマースで最も人気の商品は何なのでしょうか?購買行為には男女の差が存在しているのでしょうか?ダブルイレブンで豚肉を購入した人も続々と出てきたのは本当でしょうか?… などなど。これから、中国最大の検索エンジンである「百度(バイドゥ)」が提供した「百度2019双十一大数据报告」(百度2019ダブルイレブンビッグデータ報告書)というダブルイレブンに関する諸々のデータを元に、ダブルイレブンの背後に隠されている“秘密”を解き明かしましょう!

■Part1:五つの変化

五つの変化

□ダブルイレブン注目度は毎年上昇中、増加率は平穏な傾向

(ネット検索+閲覧)

 このデータからもわかるように、「ダブルイレブン」に注目するネットユーザの人数はますます多くなっており、「ネットセール」としての「ダブルイレブン」の話題性も高まりつつありますが、「独身の日」という“前身”は逆に中国人のみんなに忘れかけているのではないかと感じさせます。また、過去の十一年で、「ダブルイレブン」への注目度が毎年上昇しており、増加率が2012年の514%から、今年の18%まで減少しましたが、少しずつ安定していく傾向が顕著になってきました。

□20代が活躍し、市場がさらに拡大

左:ダブルイレブンの注目の年齢層 / 右:2015—2019年ダブルイレブンの都市市場分布

注*(右側グラフの一、二、三〜五線について)
一線都市:北京、上海、広州など政治や経済で重要な地位を占める大都市
二線都市:一線都市といった経済文化の発達した都市以外の地方の中核都市
三〜五線都市:二線都市以外の地方都市と田舎都市

今年の「ダブルイレブン」に積極的に興味を示した人を見てみると、20代前後の(1990〜1999年生まれ)割合が最も目立ちの60%でした。また、2015年でまたダブルイレブンというネットセールが普及していないところにも、ダブルイレブンへの関心度が急速に増加していることがわかります。

□参加する店舗がタオバオのみから、多くの電子商取引に

「ダブルイレブン」は2009年にネットセールを試みたとき、タオバオというただ一つの電子商取引しかありませんでした。しかし、多くの注目を集めて、莫大な取引額を獲得した「ダブルイレブン」が中国最大のネットセール日になっていくにつれて、天猫、京東、拼多多(共同購入システムを持つ中国のECプラットフォーム)など、多くの電子商取引がここに目を向けました。

□店舗のセール種類が激増、ネットユーザも値段の比較に一苦労

「ダブルイレブン」のセールが中国国民に広く深く浸透してから、店舗は各自でセール方法を考えて、より多くの客の目を引くようにしています。例えば、古来の「クーポン券」だけでなく、“购物津贴” “预售定金” “凑单满减” “秒杀赠品”など、多くのセール種類もネットで話題になりました。そのため、商品をより安い値段で購入するために、顧客はネット検索を通して、様々な情報を手に入れなければいけません。かなり手間がかかりますが、欲しいものを安く買うためには、一苦労も必要でしょうね。

注*
“购物津贴”:ショッピング手当、つまり「購入」という行為への感謝の気持ちからの、客への“報酬”
“预售定金”:予約販売に参加して前金を払えば、通常購入よりは多少お得
“凑单满减”:ネットショップで、ある程度の金額に達したら割引が効く。そのために他人と一緒に買って払うなどの行為を指しています
“秒杀赠品”:セールが始まった直後に商品を購入する客に、プレゼントを差し上げる

□「独身の日」が中国国民の視野から消えていく

 第1ポイントでも少し触れたように、中国最大の「ネットセール」として、奇跡を起こし、さらに世界中に影響を与えている「ダブルイレブン」は、もともと「独身の日」であったことが中国国民に忘れかけており、「ダブルイレブン 」と聞くと、先に頭に浮かんでくるのは「独身の日」ではなく、かなりの貯金を取られてしまう「ネットセールイベント」です。図が示したように、「光棍节(独身の日)」に関する検索回数や記事など、毎年目に見えて少なくなっています。

■Part2:2019 人気のEコマースプラットフォーム

2019 人気のEコマースプラットフォーム

□ランキング(前十位)

□各Eコマースプラットフォームのユーザ分布地

三大典型的なEコマースプラットフォームと言われるタオバオ、京東、拼多多に関心を向く顧客のいる位置を見てみると、広東省がいずれも第一位を取得しています。また「拼多多」のランキングでは、北京と上海が入っていないことが興味深いです。

■Part3:男女別購入商品

購入商品には、男女差が生じる

□男性はデジタル製品、女性は日常用品

上から:3Cデジタル製品/ペット用品/スポーツ用品/生活雑貨/オフィス用品

上から:生鮮食料品/インテリア/スキンケア&化粧品/洋服&鞄&靴/ママ&ベビーグッズ

□男性はドッグフード、女性はキャットフード

男性はワンちゃん、女性はニャンちゃんをよく飼っていることが上の図では、はっきりと分けられています。そして女性より、男性の方はネットで豚肉を買う人数が圧倒的であることが不思議で面白いと思います。

■Part3:百度ダブルイレブン話題スペシャル!

百度ダブルイレブン話題スペシャル!

□話題トップはあの「網紅(ワンホン:インフルエンサー / KOL)」

ここで、「李佳琦」という話題の人気は「ダブルイレブン パーティー」(左側の上から一番目)を超え、TOP1であることに気づきましたでしょうか。「李佳琦」とは誰でしょう?もしかしたら、ここまで見ていただいたあなたはこう思っているのではありませんか?「李佳琦」とは、中国のライブコマースにおいて、非常に有名な一人であり、いわゆる中国の「網紅(ワンホン:ネットインフルエンサー)」の一人です。彼が話し方にセンスがあり、ユモーア満点の人であり、そしてライブ配信にて自身で試していいと思って紹介した口紅、その売り上げはその後、いずれも急速に伸びることで、ネットで大きな話題になり、有名になりました。(もちろん、顔の綺麗なイケメンです。笑)彼の一番有名な口癖:「OH MY GOD!买它!(これ買うしかない!)」は一時的に大ブームにもなりました。このように、みんなは何を買えばいいかわからない時に、よく「李佳琦」のライブ配信を見るようになっています。こうして、Eコマースで「網紅」を活用したライブ配信による販売促進が主流となっている中国では、彼がネットで、女子のみならず、男性を含め、多くのファンを獲得しました。

抖音(TikTok)によるスクリーンショット

「百度ダブルイレブンビッグデータ」に関する紹介は以上です。最後までご覧になっていただき、ありがとうございました!少しでも役に立てれば、嬉しいです。(yami)

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