「台湾は親日」と言われて久しいです。
実際、日本の繁華街を歩けば中国語を耳にしない日はないほどであり、多くの台湾人が日本旅行を楽しんでくれていることが分かります。
では、具体的に台湾人はどのくらい日本のことが好きなのでしょうか?
今回はデータを用いて客観的に台湾人の親日度合いを確認していきます。
【目次】
訪日台湾人の数の推移から見る「台湾での日本人気」
年 | 訪日台湾人の数 |
2023年 | 4,202,400人 |
2022年 | 331,097人 |
2021年 | 5,016人 |
2020年 | 694,476人 |
2019年 | 4,890,602人 |
2018年 | 4,757,258人 |
2017年 | 4,564,053人 |
2016年 | 4,167,512人 |
2015年 | 3,677,075人 |
2014年 | 2,829,821人 |
2021年から2022年にかけては新型コロナウイルスの流行により人数が激減していますが、コロナ期間を除けば訪日台湾人の数は順調に伸びています。
2023年には2016年の水準まで回復しています。
参考:日本政府観光局(JNTO)
訪日外国人数ランキングから見る「台湾での日本人気」
台湾人の数字だけを見ても他国と比べてどのくらい多いかは分かりません。
よって以下に訪日外国人ランキングtop5をご紹介します。
<2023年>
国 | 人数 | 訪日外国人全体に占める割合 |
韓国(人口:5,171万人) | 696万人 | 27.8% |
台湾(人口:2,342万人) | 420万人 | 16.8% |
中国(人口:14.11億人) | 243万人 | 9.7% |
香港(人口:753万人) | 211万人 | 8.4% |
アメリカ(人口:3.349億人) | 205万人 | 8.2% |
台湾人は約420万人で二位でした。
日本を訪れる外国人の実に16.8%が台湾人ということです。
<2019年>
国 | 人数 | 訪日外国人全体に占める割合 |
中国(人口:14.11億人) | 959万人 | 30.1% |
韓国(人口:5,171万人) | 558万人 | 17.5% |
台湾(人口:2,342万人) | 489万人 | 15.3% |
香港(人口:753万人) | 229万人 | 7.2% |
アメリカ(人口:3.349億人) | 172万人 | 5.4% |
2019年(コロナ前)に関しては台湾人は489万人で三位でした。
日本を訪れる外国人の15.3%が台湾人であり、やはりインパクトがあります。
台湾の人口は2,342万人であり、韓国や中国に比べると少ないです。
しかし、訪日旅行者数は韓国や中国に引けを取らず、総人口に占める訪日人数の割合が非常に高いことが分かります。
このことからも台湾人の日本人気を知ることができます。
(総人口に占める訪日旅行者数の割合という点で言うと、台湾より香港の方が高いことにも留意しておきたい。)
参考:日本政府観光局(JNTO)
日本旅行にかける消費金額から見る「台湾での日本人気」
2023年の訪日外国人旅行者数は合計で2,490万人でした。そのうち韓国からの旅行者数は696万人、台湾からの旅行者数は420万人、中国からの旅行者数は243万人でした。
では、それぞれの国の消費額はどのようになっているのでしょうか?日本の国土交通省が発表した「2023年訪日外国人消費動向調査」によると、韓国人旅行者は1人当たり平均10.6万円を日本で消費し、台湾人旅行者は平均で18.9万円を消費しているようです。台湾人旅行者の数は韓国人には及びませんが、1人当たりの消費額では台湾人旅行者が韓国人旅行者よりも8.3万円も多く、韓国人の平均消費額の約178%という計算になりました。2023年の台湾人旅行者の日本での消費額は合計で7,835億円に達し全世界で1位となり、中国人旅行者は総額7,604億円で世界2位、韓国人旅行者は総額7,392億円で世界3位でした。
宿泊にかける消費額を見ると、台湾人は合計2,203億円を宿泊費に費やしており、韓国人は合計2,421億円を宿泊費に費やしています。これを旅行者数で割ると、台湾人は一人当たり約5.33万円、韓国人は一人当たり約3.48万円という計算になりました。台湾人1人当たりの宿泊費は韓国人の153%であり、台湾人はより良い宿泊施設に泊まっている、もしくは滞在期間が長い可能性があります。
お買い物にかける消費額を見ると、台湾人は2,742億円、韓国人旅行者が1,858億円ということが分かりました。これにより、台湾人は買い物の量や単価が高いということが分かりました。
台湾人が日本旅行で消費する額を一人当たりで見ると韓国の約178%になります。台湾人は日本旅行時に単価が高い商品でも購入してくれる(もしくは購入量が多い)です。この事実からも、台湾人は日本の商品やサービスを信頼し好んでくれていることが分かります。
参考:閱讀數學/台灣人多愛去日本旅遊? 消費力驚人的台灣旅客\
参考:訪日外国人消費動向調査2023年年間値(国土交通省 観光庁)
台湾人に人気の海外旅行先ランキングから見る「台湾での日本人気」
上では日本を訪れる外国人の中で台湾人がいかに多いかというデータを見ましたが、ここでは台湾人に人気の海外旅行先を見ていきます。
順位 | 2023年 | 2024年(1月から8月の合計) |
合計人数 | 延べ1,179万人 | 延べ1,138万人 |
一位 | 日本(約422.5万人) | 日本(約409.6万人) |
二位 | 中国(約176.1万人) | 中国(約182.9万人) |
三位 | 韓国(約95.4万人) | 韓国(約94.2万人) |
四位 | ベトナム(約85.3万人) | ベトナム(約83.6万人) |
五位 | タイ(約77.7万人) | 香港(約79.8万人) |
六位 | 香港(約74.3万人) | タイ(約75.1万人) |
七位 | アメリカ(約46.5万人) | アメリカ(約37.3万人) |
八位 | シンガポール(約31.6万人) | マカオ(約32.4万人) |
九位 | マカオ(約27.5万人) | シンガポール(約28.2万人) |
十位 | マレーシア(約24.5万人) | マレーシア(約23.1万人) |
上は中華民国交通部觀光署が発表した統計データです。
2023年も2024年も二位中国に大きな差をつける形で日本が一位となっています。
2023年は海外旅行者の約35%が日本を訪れました。
このデータを見ると、多くを語る必要はなく一目で台湾での日本人気が分かります。
参考:2023年出境旅客1,179萬人次 赴日422萬人次居冠
参考:中華民国交通部觀光署
台湾人の好きな10大国際ブランド調査から見る「台湾での日本人気」
アメリカ・ニューヨークを拠点とするブランド研究機関「World Brand Lab」は、毎年「アジアブランド500強」や「世界ブランド500強」などのランキングを発表しており、これらはブランドの運営、価値評価、M&A(合併・買収)における重要な指標とされています。この機関は1999年のノーベル経済学賞受賞者であり「ユーロの父」と称されるロバート・マンドル(Robert Mundell)氏が会長を務めています。
この機関は台湾人が好きな10大国際ブランドを発表しました。
- UNIQLO
- SONY
- Panasonic
- Apple
- シャネル(Chanel)
- 資生堂
- TOYOTA
- 台積電(TSMC)
- 鴻海(Foxconn)
- 華碩(ASUS)
うち、赤色の5ブランドが日本企業という結果になりました。
台湾企業やアメリカ企業という選択肢もある中で日本企業が半分を占めました。
この結果から見ても台湾人が日本商品を信頼していることが分かります。
日本台湾交流協会調査のアンケートから見る「台湾での日本人気」
「日本台湾交流協会」は公式に国交のない中華民国(台湾)との実務関係を処理するための対台湾窓口機関です。
日本台湾交流協会は2022年に台湾人に対し対日感情に関するアンケートを行いました。
調査対象者は台湾全土の20歳から80歳の男女合計1,068名です。
<台湾を除き、最も好きな国上位三か国 |2009~2021年度>
直近の2021年では、日本を最も好きな人が60%もおり、圧倒的な一位です。
中国は5%で二位、アメリカは4%で三位という結果になっています。
<日本が最も好きな国であると回答した割合(年齢別比較) |2009~2021年度 >
日本が最も好きだと回答した人を年齢別で見ると、30〜39歳の層が73%、40〜49歳の層が71%、20〜29歳の層が65%と続いています。
これらの年齢層の人々が日本を好きな理由は一概には言えませんが、この層はちょうど日本のポップカルチャー(ドラマ、ゲーム、アニメ、漫画、J-POPなど)が世界で人気を博した時期と重なり、ポップカルチャーと無関係とは言い切れないでしょう。
<最も親しくすべき国 |2009~2021年度>
「最も親しくすべき国」という項目でも日本が46%でトップでした。
過去には中国がトップの時代もありましたが、近年では順位が下がってきています。
ここ数年は台湾有事が懸念されており、中国との関係改善よりも日本やアメリカとの関係強化を求める傾向があるのかもしれません。
<日本に親しみを感じますか。 >
「日本に親しみを感じますか。 」という質問に関しても、2021年は77%もの人が「親しみを感じる」と回答しています。
<日本は信頼できる国と考えますか。 >
「日本は信頼できる国と考えますか。 」という質問に関しても、2021年は60%もの人が「信頼できる」と回答しています。
日本に対する親しみや信頼感は日本旅行や日本製品に対する信頼にもつながっており、これにより高い消費額や旅行者数が実現していると考えられます。
以下のリンクより詳細なアンケート結果を見ることができます。
日本語版もありますのでぜひご覧ください。