2020年3月、アメリカにて「台北法案」が成立しました。
これは「台湾の外交的孤立を防ぐこと」を目的とした法案です。
台湾現地では、台湾の国際的地位と主権にかかわる重大な法案として、大きな話題となっています。
また、この法案は今後のアジア全体の情勢にも関係してくること間違いなしです。
当然、日本にも関係があると思われるため、今回詳細をまとめさせていただきました。
【目次】
■「台北法案」とは?概要と成立までの流れ。
「台北法案」は台湾の外交的孤立を防ぐことを目的としたアメリカの法案です。
英語名は「Taiwan Allies International Protection and Enhancement Initiative Act」といい、頭文字をとって「TAIPEI Act」と呼びます。
2018年9月、台北法案はアメリカの共和党議員Cory GardnerやMarco Rubioなどにより提出されました。
2018年当時は、台湾が中国政府からの圧力を受け、サントメプリンシペ、パナマ、ドミニカ、ブルキナファソなどと断交した時期です。
こうした情勢を受け、台湾の外交的孤立と国際的地位の低下に危機感をもったアメリカ議員が、当法案を提出したというわけです。
そして、2020年3月4日、アメリカ合衆国下院にて賛成415票・反対0票の圧倒的票数で法案が可決されました。
また、2020年3月26日には、トランプ米大統領が台湾の外交的孤立を防ぐことを目的とした「台北法案」に正式に署名しました。
■「台北法案」の内容の詳細
アメリカ議会資料のHPにある法案原文を参考にしました。
法案は全部で5条に分かれており、メインとなる内容は3条目からとなります。
よって以下では、3条目から詳細を解説させていただきます。
法案第3条:米台の経済関係を強化
米台は強い経済関係を持つパートナーである。
アメリカは台湾にとって2番目の貿易相手であり、台湾はアメリカにとって11番目の貿易相手である。
米台の経済関係の強化は、両者にとってプラスの影響をもたらし、経済成長や雇用の創出に貢献しうる。
この法案は、アメリカ合衆国通商代表部(USTR)と国会が米台間の経済貿易関係を強化することを促す。
法案第4条:台湾の国際参加を支持
アメリカは、台湾が主権国家であることを参加資格としない国際組織に加盟したり、その他の適切な組織にオブザーバーとして参加できるよう支援する。
また、上記組織のアメリカ代表は、「the voice, vote, and influence of the United States」を通して、台湾が国際組織の会員となり、オブザーバーとして参加できるよう支援する。
他、アメリカ大統領または派遣された代表は、リーダーシップサミットや米中対談などにおいて中国と接する際、台湾が上記組織の会員となり、オブザーバーとして参加できるよう支援する。
法案第5条:中国が台湾と国交がある国を奪うことを防ぐ「賞罰制度」
アメリカ連邦行政部は、台湾が他国との正式な外交関係を強化することを支援し、インド太平洋地域および世界のその他の国々とのパートナー関係を強化することを支援する。
また、この条項を達成するため、アメリカにとって利益がある条件のもと、アメリカは台湾と関係のある国を増やし、その国との経済・安全・外交分野での接触を増やす。
逆に、台湾の安全または繁栄に大きな損害をもたらす行動をとった国に対しては、アメリカは経済・安全・外交分野での接触を見直す。
■参考資料
・台北法案の原文(英語)
・什麼是「台北法案」?跟台湾市有關係嗎?帶你看懂美國友台規定(中国語)
・台湾の外交的孤立を防ぐ「台北法案」が発効 外交部が感謝(日本語)