台湾・中国・香港・マレーシア・シンガポールなどの中華圏では旧暦七月を「鬼月(グエイユエ)」と呼んでいます。
この時期は「鬼門(あの世と通じるとびら)」が開き亡くなった方々がこの世に戻ってくると言われています。
旧暦七月は新暦八月と時期かぶることもあり中華圏のお盆のようなイベントとして知られています。
しかし、実は日本のお盆とも少し異なり中華圏の鬼月にはご先祖様以外の霊もこの世に戻ってくると信じられています。
なかには悪い霊もいると言われており中華圏では未だにタブー視されている習慣があります。
よって今回は鬼月のタブーについて解説していきます。
※ここでは台湾在住の筆者が台湾の風習を紹介していますが、これらタブーは中国や香港も共通しています。
中華圏のお盆「鬼月」のタブーまとめ
タブー①:水辺には近寄らない
この時期には水の中にも悪霊がいると信じられており、海、湖、渓流などには近寄ってはいけないと言われています。
このタブーを破ると水の中に連れ去られてしまい戻ってこられないのだとか。
実際、この時期は夏であり水難事故が増える時期でもあります。
昔の人は水難事故で亡くなる人を見て水辺に霊がいると思ったのかもしれません。
タブー②:病院に行ってはいけない
病院は人が日常的に命を落としている場所でありよくない”気”が溜まっていると言われています。
この時期には特に気が乱れると信じられており病院に行くことはタブーとされています。
とはいえ鬼月に病気になってしまうこともあるのでもちろん病院に行く人も大勢います。
タブー③:家や車を買わない、引越しをしない
この時期に大きな買い物をしたり大きな環境の変化をすると陰と陽のバランスが崩れてしまうと言われています。
悪いことが起こりやすくなり良くないこととしてタブー視されています。
タブー④:夜中に写真を撮らない
この時期は霊が多く漂っていますが夜は特に悪い気が漂っていると言われています。
写真撮影をすると霊が写り込みやすいため撮影はタブー視されています。
タブー⑤:夜中にベランダに服を干さない
衣服の形状は人の形状に似ているため、霊が簡単に入り込んでしまうと言われています。
そして霊が入り込んだ服を着てしまうと、悪いことが起こってしまうと信じられています。
タブー⑥:夜中に口笛を吹いたり、壁を叩いたりしない
こうした行為は簡単に霊を引き寄せると言われています。
悪い霊にまとわりつかれることもあるので、こうした行為はタブー視されています。
タブー⑦:後から肩を叩かれたり名前を呼ばれても振り返ってはいけない
この時期は霊に名前を呼ばれることもあると言われています。
悪い霊の呼びかけに対して振り返ってしまったら良くないことが起こると信じられています。
タブー⑧:外で壁にもたれかかったり、壁にもたれて休憩してはいけない
壁は冷たく悪い気が溜まりやすい場所であると言われています。
当然、悪い霊がいる可能性もあるため外で壁にもたれかかるのは良くないこととされています。
なお、家の中の壁にもたれかかるのは問題ないようです。
タブー⑨:最終の電車やバスに乗らない
通常、最終便は23時から翌日1時に運行しています。
この時期のこの時間帯は霊が最も活発に活動しており外を出歩かない方がいいと信じられています。
さもなければ簡単に悪い霊に取り憑かれてしまい悪いことが起きてしまうと言われています。
今でも鬼月のタブーを守る台湾人は多い
台湾にはこうしたタブーを信じる人が少なくないです。
霊の存在を心から信じている台湾人が一定数存在します。
また、霊は信じないけど家族に注意されるからタブーを守っているという人もいます。
さらに、習慣だからという理由だけでなんとなく守っている人もいます。
とにかく台湾では鬼月のタブーを守る人が今でもとても多いです。
旧暦七月のほとんどの期間が新暦八月にあたり夏休みのような休暇が多いのも事実です。
しかしこの時期には大きな移動はせず自宅でじっとしている人も多いです。
この時期は遊びに行きたいけど我慢しなきゃいけない、というジレンマが中華圏の人にはあるのです。