台湾サブスク市場の概要。人気定額サービスや台湾らしいサービスを紹介

コラム 台湾

台湾サブスク市場の概要。人気定額サービスや台湾らしいサービスを紹介

近年、台湾でもサブスクサービス(定額制サービス)が増えてきました。そのジャンルは多岐に渡り、外食、動画や音楽の配信、メディアコンテンツ、クラウドストレージ、スーパーやコンビニの定期配送など様々なものがあります。なかでも特に台湾らしいものが、ドリンクスタンドのサブスクリプションサービスです。月額を支払えば南国フルーツジュースが受け取れると言うものです。このように台湾にしかないユニークなサービスが増えてきているほどサブスクが浸透してきています。

今回は具体的なデータを用いて台湾人がどの程度サブスクサービスを利用しているかなど台湾市場の動向を解説しつつ、ドリンクサブスクのような「台湾らしいサービス」を紹介していきます。

 

台湾のサブスク市場(人気サービスの種類と割合、平均契約数、年間費用)

2024年10月、Mastercardは「台湾消費行動トレンド調査」を発表しました。それによると台湾人回答者の約7割が有料サブスクリプションサービスを利用しており、動画ストリーミングサービスの利用が44%で最も人気が高く、第2位はフードデリバリーサービスで31%、第3位は音楽ストリーミングサービスで26%だったことが分かりました。また、サブスクリプション利用はエンタメ分野にとどまらず、Google OneやiCloudといったクラウドストレージサービス、配車サービス、コンビニ商品の定期購買なども台頭しており、それぞれ19%、16%、16%の人が利用していることが明らかになりました。さらに近年ではChatGPTやCopilotなどのAIツールの有料プランも徐々に人気を集めています。

年齢別の調査によると、31〜50歳の「中堅世代」は70%の人が何らかのサブスクサービスを利用しており、なかでも33%がデリバリーサービスを契約していることが分かっています。この世代は「お金を払ってでも便利さを買う」傾向が強いとの結果が出ました。一方、30歳以下の若年層は71%の人が何らかのサブスクサービスを利用しており、主に動画や音楽のストリーミングサービスを中心に利用していることが分かりました。ただ、デリバリーサービスの契約率は24%と中堅世代より低く、主にエンタメ中心のサブスクを利用する傾向が強いようです。さらに、51歳以上の世代は安定した消費力があり、サブスク利用率は66%と若者に引けを取っておらず、そのうち25%がコンビニ商品の定期購買を利用しており、毎月一定数の商品を自動更新で購入し、追加特典を得ていることが分かりました。また、配車サービスを契約している人も23%に上ります。

他、2024年10月の英国Bango社の調査によると、台湾人は1人あたり平均4.2種類のサブスクサービスに契約しており、年間約13,488台湾ドル(約6万円)を支出しており、東アジア地域の中で最も高いことが分かっています。

参考資料:調查:7成台灣受訪者付費訂閱 影音美食外送均入榜

参考資料:「訂閱疲勞」趨勢襲台!逾六成訂戶服務太多,近三成難掌握支出

 

台湾で人気のサブスクサービス

以下で紹介する金額は2025年10月時点のものです。

動画ストリーミング

台湾は中国とは異なりアメリカや日本のネットサービスを使うことができます。

動画サービスで最も人気なものはやはりNetflixで、1デバイスで月額290元(約1440円)です。2人プランや4人プランもあり、1人あたりの金額は安くなります。次に人気なのがDisney+で、2デバイスで月額270元(約1340円)となっています。Netflixより安いですが、動画の種類が異なります。他、ワーナー・ブラザースが運営するHBOというサービスも近年台頭しており、2デバイスで月額220元(約1090円)で楽しむことができます。

動画ストリーミングサービスに関しては台湾国内のサービスはほとんど普及しておらず、米国系のサービスが人気です。

音楽ストリーミング

音楽サービスで存在感が強いのは台湾発のKKBOXです。台湾発のサービスのため台湾・東南アジア・その他アジア圏の楽曲が多く、台湾やアジア圏での認知・利用率が非常に高いです。費用は1デバイスで149元(約740円)で、複数デバイスのプランを選ぶことにより1デバイスごとの費用が安くなっていきます。また、日本でも人気の国際系サービスSportify、Youtube Music、Apple Musicなども台湾で根強い人気があります。

フードデリバリーサービス

台湾のフードデリバリーといえばFoodpandaとUberEatsが二大勢力となります。

Foodpandaのサブスクサービスは「Panda Pro」といい、月額119元(約591円)でデリバリー費用が無料になったりクーポンコードが発行されます。使えば使うほど得をする仕組みなので、一部のファンや忙しい人から人気があります。また、UberEatsにも月額120元(約596円)でデリバリー費用が無料になったりクーポンコードが発行されるサブスクサービスがあります。タクシーサービス「Uber」でも使えるポイントが5%還元されるサービスも備わっており、人によってはUberのサブスクを選ぶことがあるようです。

クラウドストレージ

台湾でもクラウドストレージはなくてはならない存在となっています。

台湾は中国と異なり海外のネットサービスが繋がるためGoogle oneやApple iCloudなどが人気です。金額は容量により大きく異なりますが、おおよそ100GBで65元程度(約320円)となります。

 

台湾らしいユニークなサブスク

台湾ご当地クラフトビール

台湾で近年非常に話題になっている「アグリーハーフビア(UGLY HALF BEER/酉鬼啤酒)」というクラフトビールブランドがあります。欧米のビール大会で受賞し、香港やシンガポールにも輸出量を拡大している勢いのあるビールブランドです。

アグリーハーフビアは台湾内でサブスクサービスを行なっており、毎月3500元(約17300円)で6本の新鮮なビールが自宅に届くプランから、毎月5999元(約29600円)で12本の新鮮なビールが自宅に届くプランまであります。

台湾フルーツジュース

台湾は亜熱帯および熱帯の気候に属しており、美味しい南国フルーツが育ちます。

台湾の大手フルーツドリンクチェーン「大苑子」が運営するフレッシュフルーツのECサイト「鮮果商城」はサブスクサービスを提供しており、定額プランは月額999元(約4930円)から用意されていて、オレンジ6個分の100%生搾りジュースが自宅まで時間通りに配送されます。

台湾の宿泊施設

台湾全土の宿泊施設が定額で利用できるサービス「玩趣 OneTrip」が注目を集めています。日本では宿泊施設のサブスクは以前からありましたが、台湾では玩趣 OneTripが初のサービスとなります。台湾では物珍しいサービスであることから、ビジネス系や旅行系のメディアで話題になっています。

参考資料:盤點幾個意想不到的訂閱服務,有些超划算、有些很KUSO…這些服務你會想花錢訂閱嗎?

参考資料:台湾初創サブスクリプション型宿泊プラットフォーム 玩趣 OneTrip

 

まとめ

上述の通り台湾でのサブスクサービスの利用者は多くネットサービスであれ物販であれニーズが高いことが伺えます。

現状、台湾でサブスクサービスを展開する日本企業は少ないですが、これから増えていく可能性があります。

要注目の分野と言えるでしょう。

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