今回は前回の記事「2020年コロナ禍における台湾の業界地図」の後編です。
参考記事:【產業地圖圖解】2020年度總盤點,哪些產業在疫情下迎來劇變?
①コールドチェーン
<図中の中国語の説明>
營收:売上
營利:営業利益
物流中心:物流センターの数
車輛:保有車両数
倉儲空間:倉庫面積
委託配送:配送の業務委託
持股○%:持株比率
子公司:子会社
コールドチェーン(英語: cold chain)とは、生鮮食品や医薬品などを生産・輸送・消費の過程で途切れることなく低温に保つ物流方式のことです。
コロナの影響により、台湾では物資の買いだめブームが起きました。インスタントヌードル、缶詰、ティッシュ、野菜や果物など、日用品の奪い合いが一時期起きました。特に、長時間保存することができて容易に調理できる冷凍食品は大人気でした。
台湾のコールドチェーン業界は、全聯、統一、全家など大手企業グループが持つ低温物流サービス、逢泰、全日、裕國などのB2B運輸業者、統一速達、台灣宅配通、Uber Eats、foodpandaなどの低温宅配サービスの3つに分かれています。
また、低温運輸サービス以外に低温倉庫市場も急速に成長しており、2019年には市場全体の44%を占める規模になりました。全聯、統一、全家などの大型流通グループもこの分野に投資しており、独自のコールドチェーン体系を確立して低温業務を発展させようとしています。
②EC物流
<図中の中国語の説明>
營收:売上
營利:営業利益
物流中心:物流センターの数
車輛:保有車両数
倉儲空間:倉庫面積
委託配送:配送の業務委託
持股○%:持株比率
子公司:子会社
員工人數:スタッフ数
門市數量:店舗数
據點:拠点数
大部分の産業がコロナの影響により業績悪化していますが、EC物流業界は逆に好調です。2020年5月にmomoが運輸サービスを提供する子会社「富昇物流」を設立し、また、PChomeはEC物流業は次の成功戦略の鍵であるとし、海外EC事業に的を絞り、7月にはモノ・物流・金をオンラインで統合したPChomeSEAという販売サービスを開発しました。
また、EC事業者以外にも、オフライン販売を主力事業としている小売企業も参戦してきています。例えば、7-11が展開する「賣貨便」は2020年3月にサービス提供者数が100万を突破し、6月には国際配送サービスが7つの国及び離島地域に拡大されました。全家(ファミリーマート)は6月にECショッププラットフォームを開設し、店内の低温保存スペースを持続的に拡張しています。この他、Uber Eatsやfoodpandaもまた2020年に短距離EC物流業界の競争に参入しました。
一方、2020年4月にはdeliverooが台湾市場撤退を発表し、6月には掌櫃智慧生活が運営中止を決定しました。台湾のEC物流領域は競争が激化しており、大型の企業グループが大資本を投入して規模感のあるビジネスを創造するだけでなく、優れたテクノロジーを有した新興企業も積極的に参戦しているのです。
③生鮮食品ECサービス
<図中の中国語の説明>
線上主導:オンライン中心
線下主導:オフライン中心
專賣:専売
綜合:綜合
生鮮專賣電商:生鮮食品専売ECサービス
大型電商平台跨足:大型ECサービスプラットフォーム
實體專賣門店跨足:実態専売店
大型零售集團跨足:大型小売企業グループ
營收:売上
虧損:損失
淨利:純利益
○家門店:○店舗(実店舗数)
コロナの影響で食品や飲料など生活物資の需要が伸びています。第二期における消費物の販売数トップ20のうち、食品と飲料が13項目を占めました。2020年以降、人々はネットで大量消費をする傾向にあり、台湾の生鮮食品ECサービス業界は大きく成長しています。総合ECプラットフォーム、垂直型生鮮食品ECサイト、大型小売企業のオンラインサイトなど、どのタイプの事業も大幅な成長を遂げました。
コールドチェーン業界が発達して生鮮食品ECサービスのコストが下がったため、生鮮食品ECを手がける企業が有利になりました。社会的企業(social enterprise)、実店舗企業、大型ECサービスプラットフォームまでもがオンラインで生鮮食品を販売するようになり、台湾の生鮮食品ECサービス業界がより多元化しました。しかし、大型小売企業グループやベンチャーキャピタルによる生鮮食品ECサービス業界への投資は比較的少なめです。