台湾KOLプロモーションとライブコマースの盛り上がり

コラム 台湾

台湾KOLプロモーションとライブコマースの盛り上がり

KOL(インフルエンサー)を活用したプロモーションは世界中で盛り上がりを見せています。

それは台湾も例外ではなく、台湾におけるKOLプロモーション予算は年々増え続けています。

よって今回は台湾におけるKOLプロモーションの盛り上がりを数字を提示して解説していきます。

 

台湾におけるSNSユーザー数

まず、台湾のKOL業界について考える前に、台湾のSNSユーザーの規模感から見ていきましょう。

以下は、世界中のデータ、レポート、トレンドなどを分析しているDataReportalが《Digital 2024:Taiwan》というレポートのなかで報告した2024年の台湾のSNSユーザー数になります。

台湾の人口:約2,342万人

台湾のインターネット利用者数:2,171万人

台湾のSNS利用者数:1,920万人(総人口の約8割)

台湾のインターネットユーザーが毎月使用するSNS一位:LINE 90.9%

台湾のインターネットユーザーが毎月使用するSNS二位:Facebook 85.1%

台湾のインターネットユーザーが毎月使用するSNS三位:Instagram 68.1%

台湾のインターネットユーザーが毎月使用するSNS四位:Facebook Messenger 61.0%

台湾のインターネットユーザーが毎月使用するSNS五位:TIKTOK 37.6%

上記の数字は近年高止まりしており、年によっては微減したり、年によっては微増したりしています。

台湾は日本と同じように少子高齢化社会であり、若い人の数やネットユーザーが急激に増加することはなさそうです。

ただ、台湾はご年配の方でもLINEやFacebookを使いこなしており、SNS利用者率は非常に高いです。

台湾においてもKOLを活用したSNSマーケティングは有効と考えられます。

参考資料:2024年台灣數位趨勢報告——剖析各大社群平台脈動

 

KOLを活用したプロモーションの市場規模の推移

では次に、KOLを活用したプロモーションの市場規模の推移を見ていきましょう。

Influencer Marketing’s Hubは2016年に設立されたデンマークのコペンハーゲンに拠点を置く民間のメディア企業であり、ソーシャルメディアおよびインフルエンサーマーケティング業界におけるハウツーガイド、コース、調査レポートの制作を専門としています。

以下は、Influencer Marketing’s Hubが2024年に発表したKOLプロモーションの全世界における市場規模の推移になります。

2016年:1.7億米ドル

2022年:164億米ドル

2023年:211億米ドル

2024年:240億米ドル

コロナ禍を経験してもなおこの分野は順調に成長を続けています。

参考資料:《2024網紅行銷報告》16組數據帶你洞見網紅行銷趨勢與商機(上)

 

次に、台湾におけるKOLを活用したプロモーションの市場規模の推移です。

DataReportalによると、2024年の台湾におけるKOLを活用した広告予算は2023年と比較して9.59億台湾ドル増加し、18.79%の成長となり、60.59億台湾ドル(約288.81億円/約1.87億米ドル)に達すると見込まれています。

参考資料:以數據精準策劃網紅行銷,KOL Radar 善用 Google Cloud 協助品牌掌握社群趨勢

 

台湾ライブコマースの市場規模推移

以下は台湾のライブプラットフォーム「就將播」が発表した台湾ライブコマースの市場規模の推移です。

市場規模
2025年 1,700億台湾元(約8,053億円)※予想値
2024年 1,300億台湾元(約6,158億円)※予想値
2023年 1,000億台湾元(約4,737億円)
2022年 700億台湾元(約3,316億円)
2021年 500億台湾元(約2,368億円)
2020年 300億台湾元(約1,421億円)

※2024年11月19日の為替レート(1台湾ドル=約4.74円)で計算

ライブコマースの市場規模に関しても順調に推移していることが分かります。

 

台湾で人気のライブプラットフォーム

台湾の人気プラットフォーム上位5つ

少し古い調査になりますが、資策会産業情報研究所(MIC)は2021年に台湾におけるSNSおよびコミュニケーションツールの利用行動に関する消費者調査を実施しました。

調査結果によると、7割以上のネットユーザーが商品ライブ配信を視聴した経験があり、人気のライブ配信プラットフォーム上位5つは、順に「Facebook(36.9%)」、「YouTube(34.8%)」、「Shopeeライブ(22.8%)」、「LINEライブ(15.3%)」、そして「Instagramライブ(10.5%)」でした。

MICのシニア産業アナリストである張筱祺氏は、すべての年代層においてFacebookとYouTubeが主な視聴チャネルであると述べていますが、その他のプラットフォームには年代ごとの嗜好の違いが見られるとしています。例えば、18~24歳の層では30%以上がShopeeライブを視聴しており、50歳以上ではその割合が20%未満。18~24歳では20%以上がInstagramライブを視聴している一方で、35歳以上では6%未満。LINEライブは55歳以上の層で視聴率が20%を超えていると述べました。

さらに、注目度の高いライブ配信コンテンツのトップ10を分析したところ、最も人気があるのは「レストランや美食」カテゴリーで、次いで「金融・理財」、「3C家電(コンピュータ、通信、消費者向け電子機器)」、「旅行プラン/ホテル/航空券」、「日用品」、「セール/工場直売情報」、「衣類・アクセサリー/靴・バッグ」、「生鮮食品/海産物」、「スキルアップ/学習」、「美容・スキンケア」の順でした。

上記四つ以外の人気プラットフォーム

  • 蝦皮(Shopee)ライブ:台湾最大級のECプラットフォームの一つで、幅広いユーザー層を持ち、さまざまな商品販売に適している。
  • 淘宝ライブ:中国最大のECプラットフォームであり、台湾でも一定の地位を占めている。特に衣類、美容、家庭用品のプロモーションに最適。
  • momo購物網:台湾の大手ECプラットフォームで、多様な商品カテゴリを提供し、幅広い商品販売に対応可能。
  • PChome商店街:豊富な商品選択肢を持つ台湾の有名なECプラットフォームで、あらゆる商品の潜在能力を引き出せる。

参考資料:超過七成網友曾看過商品直播

参考資料:直播平台怎麼選?4大直播平台優劣比較,3分鐘看懂哪一個適合你!

参考資料:台灣的直播平台有哪些?

 

台湾ライブコマース 近年の個別成功事例

「ライブ配信の女王」年間売上は15億元

台湾の「ライブ配信の女王」と呼ばれる闆妹(バンメイ)は8年前にわずか6万元(約28.6万円)で最初の商品を仕入れてFacebook Liveで事業を開始しましたが、現在では年間売上が15億元(約71.6億円)を超える規模に成長しています。また、年間売上が1億元(約4.78億円)を超えるライブ配信者も多数おり、「168money」や「就醬播」などのライブ配信プラットフォームサービス企業の台頭にもつながりました。

2024年の双11、ライブ配信の売上が最大7倍以上成長

Yahoo奇摩オークションの「週三直播日(水曜ライブデー)」では、若者に人気の高いブランド品、流行アイテム、家庭用品など多様な売り手が参加し、2024年の双11のセールではライブ配信売り手の売上が最大7倍以上成長しました。定期的なライブ配信スケジュールの実施により、プラットフォームの顧客リピート購入回数は3回に増加し、平均客単価は1,000台湾元(約4,780円)を超えました。また、「中古ブランド品」の売上は四半期で80%成長しています。また、Z世代からの注文量は約40%増加しました。

蝦皮官方直播(蝦皮公式ライブ)の成長

蝦皮購物の統計によると、2024年は現在までに蝦皮公式ライブ配信の累計配信時間は2万時間を超え、配信店舗数は前年と比較して1.7倍増加しました。

SHOPLINE Liveの成功

SHOPLINEが運営する「SHOPLINE Live」では、平均注文金額が一般的なSNSライブ配信の3倍以上となり、YouTubeと密接に連携してYouTube Shoppingを導入する販売者をサポートしています。2024年にはYouTube Shoppingを利用する販売者の数が前年と比較して10倍以上に増加しました。

東森購物、ライブ配信者の支援プログラムを構築

東森購物の董事長(会長)である王令麟氏は、2023年に1億元(約4.78億円)を投入して台湾全土で3,000人のライブ配信者と100人の高収益ライブ配信者を育成する大規模な支援プログラムを構築しました。

参考資料:能聊、會互動 KOL網紅、直播主 變現力驚人

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