現在、世界の多くの国が2040年までに石油自動車の販売を禁止する声明を出しています。
2021年11月には国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP 26)が開催され、30カ国が2040年までに内燃機関車を禁止する宣言に署名しました。
2010年代にフィーチャーフォン(ガラケー)が淘汰されスマートフォンが普及したように、2040年には石油自動車が淘汰され電気自動車が普及していることでしょう。
世界的な電気自動車普及の流れは止めることができず、将来的に世界のサプライチェーンの構図が大きく変わる可能性があります。
実際、最近では米国メーカー「テスラ」や中国メーカー「NIO」が次の自動車業界をリードすると囁かれています。
現状ではアメリカや中国のメーカーが注目されていますが、実は台湾もEV事業に大きく関わることになるかもしれません。
そうです。「フォックスコン(鴻海科技)」がEV事業に進出しているのです。
フォックスコンは台湾に本社を構える世界最大のOEM(受託製造)企業です。
主にスマートフォン(iPhoneなど)や薄型テレビなどの受託生産をしています。
(日本ではシャープを買収したことでも有名ですね。)
実は今このフォックスコンが多くのEVメーカーから受注を受けているのです。
よって今回は台湾最大のOEM会社「フォックスコン(鴻海科技)」と電気自動車について触れていきたいと思います。
【目次】
2020年1月、台湾フォックスコンがフィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)と提携!中国でのEV販売を目指す
画像:クライスラー公式サイトより
2020年1月、台湾フォックスコンはフィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)と合弁会社を設立し、中国で電気自動車を開発・製造する計画を発表しました。
フォックスコンとその子会社が合弁会社の50%株を握り、残りをFCAが保有します。まず中国市場を狙い、将来的に輸出を検討するとのことです。
台湾フォックスコンが中国浙江吉利控股集団と提携し米国向けにOEMを開始!
画像:浙江吉利控股集団公式サイトより
中国の自動車メーカー・浙江吉利控股集団と提携し、米電気自動車(EV)メーカー・ファラデー・フューチャーに生産受託サービスを提供する予定です。
2021年5月、台湾フォクスコンが米国フィスカーと提携!共同でEV開発及び生産
画像:フィスカー公式サイトより
2021年5月、フォックスコンがアメリカの新興電気自動車メーカー「フィスカー(Fisker)」との提携を発表しました。
フォックスコンは自動車の製造委託だけでなくEVの共同開発も行うとのことです。
北米、欧州、中国、インドなどを主な市場とし、4万米ドル代での安価な電気自動車の販売を計画しています。
2021年10月、台湾フォックスコンがLordstown Motors Corp.を買収!北米工場を手にする
画像:鴻海の公式サイトより
2021年10月、フォックスコンはオハイオ州にあるLordstown Motors Corp.を2.3億米ドルで買収しました。
Lordstown Motors Corp.はGMの自動車を製造している会社です。
これによりフォックスコンは北米に自動車製造工場を手に入れました。
今後は電気自動車分野のトップOEMになることを目指しています。
最後に
上でまとめた通り、フォックスコンはこれまでのOEM事業のノウハウを生かし、EV業界で存在感を高めようとしています。
2030年から2040年には石油自動車が販売禁止となるため、自動車業界のパワーバランスが大きく変わる可能性があります。
台湾・中国・アメリカのEV関連企業の連携は驚異的です。
日本人としてはなんとかして日本の伝統的な自動車メーカーに頑張ってもらいたいところですね。
参考記事:鴻海がフィアット・クライスラーと合弁、中国で電気自動車に参入へ
参考記事:中国の吉利と台湾の鴻海、米ファラデーのEVを受託生産へ