トラックストア・家電量販店など様々な店舗で、「爆買い」をしている中国人観光客を、誰でも一度は見かけたことがあるのではないでしょうか。もちろん、中国人観光客の「爆買いフーム」 はここ数年で、かなり沈静したと指摘されていますが、実際本当にそうなのでしょうか。
確かに、現在日本での「中国人爆買い現象」は数年前ほどではないかもしれません。しなしながら、中国国内では、特にオンラインショップでも、爆買い現象は一段と激しい傾向を示しています。また、世界的にECの市場規模を見ても、中国が圧倒的に一位であり、急激に成長していることがわかります。
さらに、ネット通販市場の急成長により、「剁手党」や「吃土」(詳細な説明は段末に載せます)など、いくつかの面白いキーワードが生まれました。
- 「剁手党」(duò shǒu dǎng/ドゥスォダン):いわゆるネットショッピング依存症を持つ人。 ネットショッピングに夢中で、抜け出せなくなり、ついつい買ってしまい、その後、請求額の多さに後悔し、「次に買ったら手を切り落とすぞ!」等と自嘲することから生まれたワード。
- 「吃土」(chī tǔ/チィトゥ)「土を食べる」は直訳だが、ここでは食べ物を買うお金がなくて土を食べるしかない=お金がないという意味。「ダブル11」の後に、ネットショッピングでお金がすぐになくなった状況を自嘲する表現として使われ、全国に広まった。その後、あることや物に多額のお金を使ったことを喩えるようになった。
それでは、訪日中国人観光客は日用品や医薬品、電気製品を爆買いしていたのに対して、中国人は中国現地のネット通販で、一体何を買っているのかを見てみたいと思います。
まず、「阿里指数」(ネットショップの各業界の価格や、人気のランキングなど豊富な情報を掲載しているサイト。アリババ集団が運営している)における具体的なデータを見てみると、現在、中国のネット通販では、最も提供されているものは「女装(レディースファッション)」 とわかります。
なぜ中国人女子のファッションに対するこだわりはこんなに目立つのでしょうか。 それは、おそらく彼女たちが常に「着る服がない!」と悩んでいるからだと思われます。実際、こういう時の女子は本当に着られる服がないことやコーディネートに悩んでいるわけではなく、むしろ洋服がたくさんあるのに、ただ「新しい服がない!」と常に思っている傾向があります。
すべての中国人女性に当てはまる訳ではないのですが、多くの中国人女子にとって、服に対しては以下のような思いを持っているものです。
- モーメンツ(wechatでの自分で投稿した記事を友達同士で共有しあう機能)にアップした自撮りはこの服なので、もう着れない!
- この服昨日も着たし、今日は着れない!昨日お風呂に入ってないの?って思われそう!
- こないだ、友達と食事の時はこの服を着たので、これはダメ!
- この服は昨日着た服と似たようなデザインだから、これもパス!
- etc・・・
そのため、女性はいつも「着る服がない」と悩み、服を買うことに積極的な人が多いと言えます。この記事を見ている男性にとっては信じられないことかもしれないですが、中国人女子の現実です。しかし、これは中国女子の間だけに起こる現象ではなく、他の国の女子にも言えるとも思います。
続いて、人気の「レディースファッション」検索ランキングを詳しく見てみたいと思います。まず挙げられたキーワードとは、「レディースファッション」です。想定内だとも言えますね。そして第二位「ワンピース」、第三位「ワンピース夏2019」、次は「レディースファッション夏新作」、「スカート」、「如果可以这样爱(中国ドラマ)」、「生糸ワンピース」、「キキョウスカート」、「レディースファッション夏」、「マタニティウエア」という最も検索されている10位でした。個人的には、ドラマ名が出てきたところに惹かれました。
そして、よーく見ると、ドラマ名と関連する一つの面白い現象を発見しました!このサイトでは、検索ランキングのほかに、「レディースファッション Newキーワード」というランニングもあって、その中で挙げられたのは、ほとんど「有名人が着ていたのと同じデザインの服装」というキーワードでした。例えば、第一位:「知否应是绿肥红瘦同款」=「知否应是绿肥红瘦」という中国の高視聴率ドラマの主役が着たのと同じデザインの服装、 第二位:「2019春節聯歓晩会(日本の紅白歌合戦のような存在)に出た服装」、第五、八位共に: 「逆流而上的你(同じくドラマ)に出た服」、第六位:「楊紫(中国人人気女優)が春節聯歓晩会に着たのと同じデザインの服装」、さらに第十位:「石原さとみさんと同じデザインのワンピース」というキーワードも最近多く検索されているそうです。さとみちゃんの可愛さが中国までも知られているようですね。確かに、テレビドラマや雑誌で、女優さんたちまたはモデルさんを見て、とても素敵な服を着ていることに気になって仕方がない、という気持ちを理解できなくもありませんよね。
続いて、ネット通販では非常に気になるのが、当然値段です。中国人女子はファッションにいくらくらいかかっているのかを知りたくありませんか。これから、その値段について説明したいと思います。下図に示した通り、最近30日以内、レディースファッション業界では、客単価(買上客の一人当たり買上総額のこと)の50%以上が547元(日本円だと、約一万円にあたる)を超えていることがわかります。さらに、服装に1579元(約3万円)以上に使っている割合は25%以上もあることに驚きました。少ないと思われるかもしれないが、人口数の多い、物価の安い中国において、意外と多い方のではないかと思います。
今回は主に中国のネット通販で大ヒットになっている「レディースファッション」を紹介していますがが、そのほかにも関連しているものとしては「No.1の下着」、「No.2のインテリア」、「No.3のメンズファッション」、「No.4の靴」、「No.5のキッズファッション」、「No.6のアクセサリー」、「No.7のバッグやトランクなど」、「No.8のスポーツ器具」、「No.9の日用品」、「No.10のコスメやスキンケアの基礎化 粧品」があります。
また、レディースファッションに関連する業界の中に、「デジタル用品・コンピューター」の需用量は最も大きいと言われ、また、日用品・食料品・飲料・オフィス用品・文具・工芸品・贈り物などに対する需要がこれから一段と伸びていくと指摘されています。
中国人の「ネット爆買い―女性編」のご紹介はここまでにさせていただきます。最後までご覧いただき、ありがとうございます☺🎶*❤