台湾の百貨店業界の売上規模、セール期間(繁忙期)、売り場の特徴など

コラム 台湾

台湾の百貨店業界の売上規模、セール期間(繁忙期)、売り場の特徴など

ここでは台湾の百貨店業界について解説していきます。

具体的には、売上規模、繁忙期(売り上げが伸びるシーズン)、特徴などにフォーカスして情報をまとめています。

 

台湾の百貨店業界の売上規模

参考資料によると台湾の百貨店業界全体の売上は2022年が3,946億台湾元で、2023年が4,492億台湾元です。

コロナ以降はものすごいペースで成長を続けている業界です。

※2024年6月現在、1台湾元は約4.8円

参考資料1:百貨業2023營收 史上最強

参考資料2:百貨商場進入戰國時代!百貨業2022年營業額及業績排名出爐,店王是「台中」這家

 

台湾の百貨店別売上ランキング

それでは次に2023年の台湾の百貨店別売上ランキングを見ていきましょう。

2023年の順位 店舗名 2023年の売上 成長率 2022年の売上 2021年の売上
整理:購物中心情報站(sc2100.com)
1 新光三越台中中港店(台中) 258億台湾元 5.3% 245億台湾元 214億台湾元
2 台北101(台北) 220億台湾元 22.2% 180億台湾元 157億台湾元
3 台中大遠百(台中) 214億台湾元 5.9% 202億台湾元 168億台湾元
4 SOGO復興(台北) 200億台湾元 11.1% 180億台湾元 156億台湾元
5 新光三越台南西門(台南) 174億台湾元 5.8% 164.4億台湾元 150.6億台湾元
6 漢神巨蛋(高雄) 172億台湾元 20.3% 143億台湾元 137億台湾元
7 巨城(新竹) 160億台湾元 12.7% 142億台湾元 140億台湾元
8 夢時代(高雄) 151億台湾元 20.8% 125億台湾元 117億台湾元
9 漢神(高雄) 137億台湾元 7.0% 128億台湾元 110億台湾元
10 華泰名品Outlet(桃園) 122億台湾元 19.6% 102億台湾元 70億台湾元
11 板橋大遠百(新北) 120億台湾元 4.3% 115億台湾元 96億台湾元
12 忠孝SOGO(台北) 117億台湾元 6.4% 110億台湾元 104億台湾元
13 南紡(台南) 106億台湾元 16.5% 91億台湾元 78億台湾元
14 新光三越信義A4(台北) 102億台湾元 5.2% 97億台湾元 77億台湾元

意外にも一位と三位は台北ではなく台中にあるデパートでした。

台中市は台湾第二の人口を誇る都市であり、台北ほどデパートが多くないことも関係しているかもしれません。

逆に台北は主要な駅にはショッピングモールやデパートがあることが多く、一店舗ごとの売上が分散されている可能性があります。

※2024年6月現在、1台湾元は約4.8円

参考資料:2023年營業額超過100億的商場百貨

 

台湾の百貨店業界、繁忙期は「週年慶シーズン」

それでは次に台湾の百貨店業界の書き入れ時について解説します。

先に結論から述べるとそれは10〜11月の「週年慶」と呼ばれるシーズンです。

週年慶は日本でいうセール期間になります。

日本は夏と冬にセールが行われますが台湾では10〜11月にセールを行います。

では、なぜ秋(10〜11月)にセールが行われるのでしょうか?

理由1:永琦百貨起源説

一説には台湾で最初に週年慶を始めた「永琦百貨」というデパートが起源だと言われています。

1978年11月、永琦百貨はオープン3周年を記念して全品2割引の大特価セールを始めました。

この値下げは思った以上の効果をあげ売上が大幅に上昇したそうです。

それまで台湾のデパートは高級感を保つために値下げを行うことは少なかったですが、永琦百貨の成功により百貨店業界では10〜11月にセールを行う習慣が生まれたと言われています。

理由2:ちょうど祝祭日がないから

視点を変えて台湾の祝祭日に注目してみましょう。

他の多くの国々と同じように台湾にも台湾独自の様々な祝祭日があります。

一月と二月は旧正月や西洋式バレンタインデーが、三月と四月には子どもの日(兒童節)と清明節が、五月と六月には母の日(母親節)と端午の節句(端午節)が、七月と八月は夏休みや父の日(父親節)や七夕が、九月には中秋節が、12月にはクリスマスがあります。

しかしよく見てください。なんと10〜11月はちょうどこれといった祝祭日がないのです。

つまり消費行動が少なくなってしまう10〜11月に週年慶を設定したという説があるのです。

理由3:季節の変わり目だから

10〜11月はちょうど夏が終わり秋になるシーズンです。

洋服だけでなく化粧品やスキンケア用品も大きく品替えをする季節であるため、週年慶を設定したという説があります。

まとめ

どれか一つの説が正しいという訳ではなく上記三つが複合的に合わさって10〜11月に設定されたものと考えられます。

そもそも「週年慶」には「アニバーサリー」という意味があります。

つまりこれはオープン記念を意味する単語であり理由1が元となっていることは確かでしょう。

また、商売の観点から見ても理由2と理由3を元にセール期間を設定するのは非常に合理的と言えます。

参考資料:百貨週年慶為什麼都在10-11月?促銷方案又為什麼那麼複雜?一起來看看週年慶冷知識吧!|志祺七七

 

台湾のデパートの売り場の構造

デパートにも高級路線や廉価路線など様々なタイプがあり売り場の構造は一概には言えません。

しかし多くのデパートに共通する傾向はあります。以下の通りです。

・地下:生鮮食品高級スーパー、廉価なフードコート、ファストファッション、ドラッグストアなど

・一階:化粧品、スキンケア、香水、高級ブランドバッグ、高級ブランド腕時計、高級ブランド衣類

・二階〜それ以上:高級ブランド、男性用衣類、ファストファッション

・高層階:家電、パソコンなどデジタル製品

・屋上:高価格レストラン(焼肉、寿司、中華など)

こうして見ると日本のデパートとあまり変わりません。

またここ最近の傾向として飲食店の半数近くが日本食になっているデパートもあります。

その種類は多岐にわたり、ラーメン、焼肉、寿司、定食、たこ焼き、居酒屋などが主流です。

日本旅行ブームや円安により日本の本場の味を知り帰国する台湾人が増えており日本食需要が増えていると考えられます。

 

台湾に複数店舗を展開する大手デパートの紹介

台湾には1店舗しかないデパートがいくつか存在しますが、ここでは複数店舗を展開する大手デパートをご紹介します。

会社名 設立日 代表店舗 店舗数 店舗
遠東百貨股份有限公司 1967年8月 遠百信義A13 13 信義A13、板橋中山、板橋新站、桃園、竹北、新竹、臺中、嘉義、臺南公園、臺南成功、高雄、花蓮
大統百貨企業股份有限公司 1975年4月 大立百貨 2 大統五福店大立百貨(A館、B館)
太平洋崇光百貨股份有限公司 1986年3月 忠孝館 7 遠東SOGO百貨:台北店(忠孝館、復興館、敦化館)、天母、中壢、新竹、高雄
豐洋興業股份有限公司 1989年8月 屏東店 4 太平洋百貨:台中豐原、屏東市、屏東驛站、潮州驛站
新光三越百貨股份有限公司 1989年11月 台北信義新天地A9 15+1 臺北站前、臺北南西、臺北天母、臺北信義新天地、桃園站前、桃園大有、臺中中港、嘉義垂楊、臺南中山、臺南新天地、高雄三多、高雄左營、SKM Park
漢神名店百貨股份有限公司 1995年3月 漢神百貨高雄本館 2 漢神百貨、漢神巨蛋
微風廣場實業股份有限公司 2001年 微風廣場 9 微風廣場、台北車站、松高、南京、信義、南山、台大醫院三軍總醫院中研院
環球購物中心股份有限公司 2001年11月 屏東店 8 新北中和、板橋車站、桃園A8、桃園A19、林口A9、南港車站、新左營車站、屏東市
大魯閣實業股份有限公司 2015年7月1日 大魯閣新時代 2 大魯閣新時代(原為台中德安購物中心、MODE Mall新時代購物中心)、大魯閣湳雅廣場

このうち、二つ目の大統百貨と六つ目の漢神名店百貨は高雄のみに、四つ目の豐洋興業(太平洋百貨)は台中豊原及び屏東県のみに、九つ目の大魯閣實業(大魯閣)は新竹と台中のみに店舗があります。

これらは地方型のデパートであり、台北に行くだけではお目にかかることができません。フードコートにはその土地の料理を提供する地元企業が出店しているケースもあり、地方ならではの特色を感じることができます。

参考記事:台灣百貨列表

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