近年、AIがめざましい発展を遂げています。
以前からグーグルやYouTubeのおすすめに自分に合ったコンテンツが表示される技術はありました。また、将棋や囲碁はすでに人間がAIに勝てなくなったと言われて久しいです。
そして最近では、ChatGPTを始めとした優れたAIツールが次々と登場し続けており、文章・画像・音楽・動画・コーディングなどあらゆるものの生成が可能になっています。
こうしたAIツールというとアメリカ発のサービスをよく耳にしますが、実は台湾にも数多くの人工知能関連企業が存在しており、中には上場するほどの規模のものもあります。
最近、台湾の<數位時代><數位發展部><台北市電腦公會>という3つの組織主導で、【2023台湾AI大賞】なるコンテストが行われ、台湾にある12のAI関連企業が受賞しました。
台湾の新興AI企業を理解するためにも、今回はコンテストで受賞した12の企業を紹介させていただきます。
2023台湾AI大賞について
台湾人工知能学校、台湾人工知能発展基金会、AppWorks、Hive Venture、AWS、マイクロソフト、Meet Startup、台北AAMA搖籃計画などの協力により、技術力、市場潜在力、産業/社会への影響力、アプリケーションまたは技術の革新性といった4つの観点に基づき審査を行い、12のチームとプロジェクトに賞を与えました。
2023台湾AI大賞を受賞した12の企業(チーム)及びプロジェクト
雲云科技 CuboAi
カメラにAI技術を搭載し、乳幼児の危険な行動を監視するテクノロジーを提供しています。
また、アプリを使って家族の幸せな瞬間を記録することも可能です。
中研院資科所YOLO研究團隊
YOLOは現在注目のAI物体検出アルゴリズムです。
国立中央研究院の資訊科学研究所所長である廖弘源氏と博士研究員の王建堯氏は、ロシアの学者アレクセイ・ボチコフスキー(Alexey Bochkovskiy)と共同で、最新のYOLOバージョン4(YOLO v4)を開発しました。
このシステムは現在、世界で最も高速かつ高精度な物体検出システムの一つと言われています。
工合 InfuseAI
Infuse AIは主に企業がAIや機械学習を導入するハードルを下げるため、エンジニアや開発者に対して総合的で初心者にも入りやすいAI開発環境のソリューションを提供しています。
數位身分 Authme
Authmeは人工知能技術を活用したオンラインでの身分認証セキュリティ強化に関するサービスを提供しています。
具体的には、IDカードの認証や、ディープフェイク技術を活用した顔・皮膚の模様・血液の流れなどの状態の検知による偽造問題の解決などを行っています。
これにより企業はユーザーのオンライン身分認証を行う際に合法で、安全で、信頼性のある要件を満たすことができます。
雲象科技 aetherAI
雲象科技(aetherAI)はAI技術を活用して病理医の診断効率及び精度を高めるサービスを提供しています。
具体的には、デジタル病理画像をAIにより解析することで、膨大な画像データを処理し、医師の肉眼に頼った診断を改善し、大幅な業務効率改善をはかることが可能になります。
犀動智能科技 Aiello
犀動智能科技(Aiello)は世界屈指の自然言語理解 (NLU, Natural Language Understanding)に関するノウハウを駆使し、人間の音声や周囲の雑音を認識するだけでなく、人間の発する複雑な指令にも対応可能な技術を提供しています。
具体的には、ホテル・宿泊業に特化したスマートスピーカーである「Aiello AI アシスタント」を開発しており、自然言語処理(NLP)の音声技術を運用して宿泊客のさまざまな要望にすぐに応えられるようサポートしています。さらに、クラウド直結型のバックエンドデータ管理システムとの連携で事業者の潜在的な問題や経営戦略の分析をサポートします。
杰倫智能科技 Profet AI
杰倫智能科技(Profet AI)は、ノーコード(no-code)のAutoML仮想データサイエンティストプラットフォームを提供しています。
このプラットフォームを使用することで、製造業の一線で働く人々が短時間でAIを活用した日常作業フロー最適化を行うことが可能になります。
動見科技 OMNIEYES
動見科技(OMNIEYES)はAIアルゴリズムを活用し信号無視のような違法行為をリアルタイムで検知することができるサービスを提供しています。また、AIを使用してドライバーの疲労状態を識別し、ドライバーに早期警告を行うことも可能です。
データに基づいた管理を通じてプロドライバーの安全な運転を実現することができます。
滿拓科技 DeepMentor
滿拓科技(DeepMentor)は元々32ビット以上のプロセッサでしか作動しなかったAIアルゴリズムや大規模モデルを、4ビットまたは8ビットのサイズにてほぼ完全に再現することに成功しました。この技術は特許取得済みです。
迪威智能 DeepWave
DeepWave(ディープウェーブ)は深層学習モデルを利用して、より完全な音声のフィルタリングを実現し、強力な音声認識ツールを実現しました。
言語や音楽教育の分野での利用や会議の場での発言や逐語録の認識が向上することが見込めます。
また、製造業の生産ラインにおける異常音の検出や製造ラインでの品質管理担当者の健康状態を維持するために活用することもできます。
審査員特別賞①:沛星互動科技 Appier
Appier(エイピア)はスタンフォード大やハーバード大を卒業した4人の台湾人が創業したAI企業です。
AppierはAI技術を駆使し「潜在的なユーザーの予測と獲得」「ユーザーの維持」「ユーザーの将来の行動の予測」などを目標としたマーケティングソリューションを提供しています。
また、日本市場への進出も進めており、2021年には東証マザーズに上場しており、トヨタ自動車や資生堂など日系大手クライアントとの取引実績が既にあります。
審査員特別賞②:創鑫智慧 NEUCHIPS
NEUCHIPSは、AI ASIC(AIタスクの処理を高速かつ効率的に行うために設計されたチップ)を開発する企業です。
TSMCの子会社で設計サービスを担っているGUCの共同創設者であり台湾の国立清華大学の教授であるYoun-Long Lin博士がファウンダー兼CEOを務めており、TSMCを中心とした台湾半導体業界と繋がりがあります。