台湾は空前の「食べ放題ブーム」!最も予約困難な食べ放題店「島語」

コラム 台湾

台湾はいま空前の「食べ放題ブーム」!最も予約困難な食べ放題店「島語」

台湾はいま空前の食べ放題ブームです。

台湾のデパートやショッピングモールには数多くの食べ放題レストランが出店しています。

そして、先日食べ放題ブームを象徴するレストランの2号店が高雄にオープンしました。

その名も「島語」です。

もともと台北に1店舗だけあり、最も予約が困難な食べ放題ビュッフェの店として知られていました。

値段も一人2000元前後(10000円)と高額です。

なぜ台湾では食べ放題店が急増しており、島語のような高価格店も受け入れられているのでしょうか?

今回は台湾での食べ放題店の人気の理由に迫りたいと思います。

 

台湾で一番予約が取りにくい食べ放題店「島語」の登場!

島語は競争が激化する台湾において一番予約が取りにくい食べ放題店として知られています。

2023年10月に台北に1号店がオープンし、2025年8月には高雄に2号店がオープンしました。今のところ台湾にはこの2店舗のみです。

まだ歴史の浅いレストランですが、昨今の食べ放題ブームに乗って多くの台湾人を惹きつけてきました。

値段は平日、休日、朝、昼、夜などで料金が細かく分かれています。

平日の昼は1490元(7200円)+チャージ料10%、休日の夜は2090元(10100円)+チャージ料10%、となっており、料金は決して安くはありません。

ただ、その分お料理は豪華で、品質のいい寿司、蟹、鮑、ホタテ、北京ダック、ステーキ、各種ホテルレストランランクの料理などがあり、各種アルコールも飲み放題です。

以下は公式サイトのリンクです。どのようなお料理が食べられるかを見ることができます。

島語公式サイト

ELLE 島語特集記事

 

台湾にはどれくらいの数の食べ放題店があるのか?

ここまで台湾では今食べ放題の店がブームになっていると説明してきましたが、実際にどのくらいの数の食べ放題店があるのでしょうか?

残念ながら具体的な数字データを発見することはできませんでした。

ただ、Googleで「吃到飽餐廳(食べ放題店)」と検索すると、本当に数多くの関連記事がヒットします。

Google検索結果「吃到飽餐廳(食べ放題店)」

Google検索結果「吃到飽餐廳(食べ放題店)」

約4310万件の記事がヒットしました。

実際、台湾のショッピングモールやデパートのグルメ街を歩いてみると、台湾料理、洋食、日本食などの様々な食べ放題店があることに気づきます。

これは私の感覚になってしまいますが、デパートのグルメ街にある店の2~3割が食べ放題店となっていることが多いです。(感覚的に、明かに日本のグルメ街より食べ放題店が多い)

また、以前は食べ放題店ではなかったお店が食べ放題制度を導入するなど、ブームに乗って営業形態を買えるお店も増えています。

グルメ街を歩くと、台湾での食べ放題ブームを感じることができます。

 

台湾にはどのような食べ放題店があるのか?

では、実際に台湾にはどのような食べ放題店があるのでしょうか?

食べ放題サービスのみを提供するレストランを紹介します。

 

饗食天堂

「饗食天堂」は、2002年に台湾・中壢(現:桃園市)に第1号店を開店した食べ放題(ビュッフェ)レストランブランドで、現在は全国各地に10以上の店舗を展開しています  。多国籍料理(中華、台湾、泰式、ベジタリアンなど)を含む豊富なメニューが特徴で、創業当初は200種類以上の料理を提供していた実績もあります 

値段は1人1000元(4800円)でリーズナブル。台湾では「食べ放題」と言えば思い浮かぶ代表ブランドの一つとして、グループや家族連れ、会食でも重宝される存在です。

饗食天堂公式サイト

 

果然匯

「果然匯」は饗賓餐旅グループが2013年に創立した多国籍ベジタリアンビュッフェレストランです。台北・大安の明曜百貨で第1号店が開業され、のちに竹北や高雄など台湾各地に展開しました(2025年時点で5店舗)。中華・洋食・日本料理・東南アジア料理など多ジャンルの約100種類以上のベジタリアンメニューを提供しています。

値段は1人800元(3880円)以下でこちらもリーズナブルです。台湾のベジタリアン文化を体験することができます。

果然匯公式サイト

 

欣葉日本料理吃到飽

台湾の有名飲食グループ欣葉が運営しており、和食をテーマとした食べ放題レストランとなっています。寿司・天ぷら・しゃぶしゃぶなどが食べ放題で、台北を中心に複数店舗あります。

値段は1人1000元(4800円)から1200元(5820円)程度です。日本料理は海鮮や和牛などの食材を使うため、この価格設定でもリーズナブルな印象で受け入れられています。

欣葉日本料理吃到飽公式サイト

 

築間

台湾風の火鍋料理を提供するレストランです。台湾全土に80店舗以上を有しており、台湾では非常に知名度の高い火鍋食べ放題店です。元々はメニューを一つ一つ注文するスタイルでしたが、ここ数年は食べ放題ブームに合わせて一部食べ放題コーナー(野菜、麺、ドリンクなど)を増設するなどしています。台湾の食べ放題ブームを象徴するようなお店です。

値段は1人450元(2200円)から。和牛や海鮮は別料金となっています。

築間公式サイト

 

狂一鍋

台湾風の火鍋料理を提供するレストランです。こちらも台湾全土に展開しており、およそ20店舗ほどがあります。店舗数はまだ少ないですが、近年勢いがある火鍋チェーンです。

値段は1人300元(1450円)〜500元(2400円)程度。こちらも肉や海鮮は別途料金となっています。

狂一鍋公式サイト

 

上で紹介した5ブランドはほんの一部です。

台湾にはまだまだ人気の食べ放題店が多数存在します。

 

なぜ台湾では食べ放題ブームが起こっているのか?

台湾の大手ニュースメディア「數位時代」の2025年7月9日の記事「吃到飽有何魅力?為何路易莎、築間都想開?解密餐飲集團看中的「高坪效戰略」(食べ放題にはどんな魅力がある?なぜルイーザや築間も食べ放題店を開きたいのか?外食グループが注目する『高い坪効率戦略』の秘密を解く)」によると、台湾の食べ放題レストランは2023年における外食産業の中で年間成長率が最大の業種となり、42.6%を記録したとあります。これはコロナ後の会食需要が強く回復していることを反映しています。また、2024年は前年の急成長に比べて増加率は5.5%と鈍化したものの、依然として拡大傾向を維持しています。なぜ大手外食グループがこぞって食べ放題に投資しているのでしょうか?台湾人にとって食べ放題レストランにはどんな魅力があるのでしょうか?

先ほどの數位時代の記事によると、連鎖加盟促進協会の顧上鈞副秘書長は、台湾の食べ放題市場の成長は独特の外食文化と高密度人口による安定的な需要から来ていると分析します。高雄科技大学の呉師豪教授は、中華文化には「同じ卓を囲んで食べる」習慣があり、食べ放題は多様な食習慣に対応しつつ、社交的ニーズを満たせると指摘します。コスパを重視する台湾市場では、食材の多様性や高級食材によって「元が取れる」という期待を消費者に与えられるため、価格はやや高くても満足度が高いのです。

顧上鈞は食べ放題市場を次のように分類します。

  • セルフ式食べ放題(ビュッフェ):例:漢來海港、饗饗

  • 注文式食べ放題(テーマ型+セルフバー併設):例:焼肉、火鍋(新馬辣火鍋、王品の和牛涮など)

  • 半食べ放題型(メイン料理を注文+セルフバー無制限):例:築間

彼はまた台湾の食べ放題市場は「M字型発展」を示していると分析します。すなわち、富裕層は体験価値・高級食材・洗練された空間・ハイレベルなサービスにお金を惜しまず、学生や若者は安さと量を重視する傾向にあり、この二つの層の需要が非常に強いことが原因だと考えられるのです。

最後に台湾在住の私(執筆者)の分析も述べさせていただくと、台湾人は食に対する興味がものすごく強いことが食べ放題店ブームの大きな要因だと思います。その興味の強さは日本人とは比べ物にならないほどであり、台湾人が旅行する際には観光地や遺跡よりも食の優先度の方が高いというデータが各所で見られることからも分かります。つまり、台湾人は食事にお金をかけることを厭わず、様々な形態の店舗や様々なテーマの食事を体験することに非常に興味がある人々なのです。

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