ネットマーケティング会社 We Are Social及びSNS管理プラットフォーム Hootsuiteによると、現在全世界で約39億6000万人が日常的にSNSを使用しており、歴史上初めて全人口の半数を超えました。(全世界の51%)
ユーザーが多い順に、Facebook、YouTube、WhatsApp、Facebook Messenger、WeChat(微信)、Instagram、Tiktok(抖音)という結果になり、年間増加率は10.5%で、年間増加人数は約3.76億人でした。
では、世界的にSNSが発達し続ける中、台湾におけるSNS事情はどのように変化しているのでしょうか?
台湾はFacebookやYouTubeが使える中国語圏という特殊なポジションにあります。また、台湾の全人口の88%(2000万人以上)が何らかのSNSを使用しており、これはアラブ首長国連邦に続き世界第二位、韓国と二位タイとなります。加えて、他の国ではSNSをあまり使わないと言われている55歳以上の層に関しても、毎年2割ずつユーザーが増えています。いわば、台湾はSNSが大好きな土地柄なのです。
今回は、そんな台湾の最新のSNS及びインフルエンサー事情についてまとめました。
2020年、台湾のインフルエンサーはどんな人たち?2割は人じゃない!
台湾のビジネス誌<數位時代>と台湾のネットマーケティング会社<ikala>が共同で「2020年に台湾で最も影響力のある100人のインフルエンサー」を調査しました。結果、100人のうち、男性インフルエンサーが42名、女性インフルエンサーが24名、グループが15組、その他が19名となりました。
また、YouTubeに関しては、チャンネル登録者数100万人以上のYouTuberが65名、チャンネル登録者数10万人以上のYouTuberが1250名でした。
次に、上のグラフはFacebook、Instagram、YouTubeの各プラットフォームで活躍するインフルエンサーの規模とその数です。
ピンクはフォロワー5万人以下の小規模インフルエンサー、エメラルドグリーンはフォロワー5〜30万人の中規模インフルエンサー、紫はフォロワー30万人以上の大規模インフルエンサーです。
グラフから分かる通り、いずれのプラットフォームにおいても、2020年は2019年と比べて小規模インフルエンサーの数が増加しています。
SNSユーザーが増え、情報発信をする人が増えたことにより、小規模インフルエンサーの層が増加したのです。
なお、小規模インフルエンサーは閲覧者との距離が近く、ニッチなジャンルで情報発信をしているという特徴をもっています。
しかし、2020年に選ばれた100人のうち、新しくランクインしたのはたったの12名でした。
このことから、SNSは先行者が有利であり、新参者が上位にランクインするのは難しいことが分かります。
上のグラフは、2020年に選ばれた100人の台湾インフルエンサーが発信するジャンルをまとめたものです。
左から、生活一般(生活)、お笑い(搞笑)、親子(親子)、イラスト(插畫)、ペット(寵物)、教育(學習)、新商品紹介(開箱)、映画(電影)、ダンス(舞蹈)、ゲーム(遊戲)、グルメ(美食)、占い(命理)、美容(美妝)、ファッション(穿搭)、音楽(音樂)、旅行(旅行)です。
数字は、ピンクが2020年、黄緑が2019年のものとなります。
結果、生活一般、お笑い、イラスト、ゲーム、グルメが多いことが分かりました。
2020年、インフルエンサー界隈に起きた4つの現象
iKalaの創業者及び運営長である鄭鎧尹氏は、今回の調査結果から4つの現象が分かったと述べています。
現象1:娯楽型インフルエンサーが人気であり、その数は全体の4割を占める
生活一般(27%)やお笑い(14%)などのジャンルが依然として主流であり、全体の41%を占めています。その代表的なインフルエンサーが蔡阿嘎や這群人であり、リラックスして楽しめる娯楽性の高いものが人気であることが分かりました。
しかし、確かに生活一般やお笑いのジャンルは人気ですが、その割合は去年よりも減っています。これらジャンルは参入障壁が低く、競争者が多いため、視聴者の目が肥え、より新しいものを求める傾向にあります。継続して優良なコンテンツを作るのが難しいジャンルなのかもしれません。
現象2:グルメジャンルが成長した
2020年、グルメ分野のインフルエンサーが12名もランクインしました。そのうち、2019年にはランクインしていなかった新参者は4名でした。
大食い(千千進食中)、新商品紹介(大蛇丸、古娃娃)、食事の様子の配信など以外に、Amyの私人厨房、料理123、肥大叔などレシピ紹介チャンネルも人気でした。
これはおそらく、コロナ禍において、自炊や健康に関心がある視聴者が増えたのが原因だと思われます。
現象3:インフルエンサーが社会問題について発言するようになった
これまで台湾のインフルエンサーは自身のジャンルについてのみ情報を発信していました。
しかし、2020年にはいくつかのインフルエンサーが社会問題について発言し始めました。
例えば、阿滴英文は「#TaiwanCanHelp」と称してコロナの防疫に関して台湾が世界をサポートできることを主張しました。
現象4:インフルエンサーが独自ブランドの商品を販売し始めた
長い間、インフルエンサーはクライアントの商品を代理販売する立場にありました。
しかし、ここ最近は、千千、魚乾、滴妹などが個人ブランドを開発し、商品の販売に成功しています。
圧倒的なファンの数を背景に、順調に売り上げを伸ばしているのです。