独身の日「双11(W11)」前日の上海の街中の様子

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11月11日は中国のアリババが仕掛けるECサイトのお祭りイベントが毎年あります(独身の日と言われており「双11」と書かれます。海外では「W11」とよく言われています)。

今年はイベント前日の上海の街中を見てきました。

そこから見えてきたのは、アリババ1社が始めたネット上の小さなイベントが今やネットにとどまらずリアルも巻き込んだ国民全体のイベントにまで広がってきているのでは、という様子でした。

詳細は省きますが、「双11(W11)」はECサイト最大手のアリババがしかける年に一度の参加加盟店の安売りセール祭りで、4割引きや5割引き、中には6割引きで出すお店もあるようで、10月後半には何を買うか、クーポンはゲットしたか、などがよく話題に登るお祭りです。

元々アリババのCtoCのECサイト(淘宝网)で始まったイベントで、それがBtoCのECサイト(天猫)に広がり、その後盛り上がりに乗じて競合になる京东やAmazonなど主要なECサイトが「双11(W11)」のイベントを一緒になって盛り上がるようになり、主要なECサービスを巻き込むネット上の大きなお祭りに成長してきています。

売上額で見ると、2017年11月11日はアリババ単体だけで1682億元(日本円で約2兆8594億円、1元≒17円換算)。

よく比較される楽天は1年間のEC関連売上が約3兆円ですので、楽天の1年分近くの売上をたった1日で、しかもたった1社で売り上げてしまう、という驚異のお祭りです。

そんなアリババ1社から始まったお祭りがネット全体へ広がり、そしてここ数年、リアル店舗まで広がりを見せています。

つまり、アリババもネットも関係なく国民のイベントに展開していっているのだなぁと感じました。

街なかでは、「双11(W11)」の広告(特に交通広告(OOH))や天猫の広告が沢山出ていましたし、店舗側も独自に告知を出している所が多くありました。

まだまだネット普及率が60%程度ということを考えると、このイベント自体の取り組みが自動的にアリババの宣伝にもなり、今後の利用者増への足がかりにもなっていくんだろうと思います。
※リアル店舗含めて初めて「双11(W11)」を知った人が何だ?と調べたり聞いたりするとアリババに行き着くという素晴らしい動線。

ちなみに、今年は1日で3兆円超えは確実と言われており、それがどこまで伸びるのか楽しみでもあります。

これだけ売れてさぞかし儲かるでしょう、という話をお客さんからもよく聞かれますが、言ってみれば安売りセールの大イベントなので、出店社側はほぼ利益はでません。

ここでの売上額の実績を今後の宣伝に使ったり、自社のフォロワー(ファン)を増やすための施策という位置づけのところが多いようです。

W11に向けて中国に展開し儲けましょう!W11で儲かるコツ!みたいな売り文句で営業をしている会社もあるようですが、イベント単体で考えずに、W11がどういった位置づけのイベントか、それを自社の中国ビジネスの中でどのように活用してやっていくかは吟味が必要かと思います。

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また、弊社の中国人スタッフ達も楽しみにはしているようですが、20代はW11に対して総じて少し冷めた目で見ているところもあるようですし、あまりに安売り合戦が厳しく、そこに付随する不正の問題などもあるようです。

この辺はまたいつかまとめて書こうと思います。

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