春節AIアプリ「紅包」競争が激化 各社が数十億元規模を投下

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中国の春節(旧正月)商戦に合わせて実施されたAIアプリ各社の「紅包(お年玉)」キャンペーンの成果が明らかになった。アリババ、テンセント、字節跳動(バイトダンス)、百度の4社は総額数十億元規模の資金を投じ、ユーザー獲得を競っている。

■各社の実績公表、利用回数は数十億規模に

アリババのAIチャットアプリ「千問(Qwen)」は、2月6日から17日までの春節イベント期間中、1億3000万人以上がAIショッピングを体験し、「千問、手伝って」との利用回数が累計50億回に達したと発表した。

テンセントも同日、AIアプリ「元宝(Yuanbao)」による総額10億元規模の紅包キャンペーンの実績を公表。2月1日から17日までに抽選回数は36億回を超え、AIを活用したコンテンツ制作は10億回に上ったとしている。

字節跳動の「豆包(Doubao)」は、大みそか当日のAIインタラクションが19億回に達し、春節関連の画像生成は5000万枚超、祝福メッセージは1億件超を記録。百度の「文心助手」も、キャンペーン開始後、月間アクティブユーザー(MAU)が前年同期比4倍に増加した。

■地方都市と高齢層への浸透が鮮明に

今回の特徴は、三・四線都市など地方中小都市での利用拡大だ。

千問によると、映画チケットのAI注文は最大372倍、三・四線都市では782倍に急増。AI経由注文の約半数は県レベル都市からで、60歳以上の利用者も約400万人に上った。

元宝でも、紅包利用者の49%が三・四線以下の都市在住者だった。共有型紅包は累計2億1000万回以上受け取られ、AIソーシャル機能「元宝派」でも地方ユーザーの比率が約半数を占めた。

AIの利用が一線都市中心から地方都市へ広がっている実態が浮き彫りになっている。

■総額数十億元規模の資金投入

各社は1月下旬から相次いで大型キャンペーンを開始した。

百度は5億元、テンセントは10億元の紅包を用意。アリババは30億元規模の「春節ごちそう計画」を展開し、EC、即時配送、旅行予約など複数サービスと連携した割引施策を実施した。

アントグループ傘下のAI医療アプリ「蚂蚁阿福」も新規登録者向けに支付宝紅包を配布し、利用者拡大を図った。

■アプリランキングを独占

キャンペーン効果はダウンロード数にも直結した。2月6日には千問が中国App Store無料ランキング首位に浮上。その後も豆包、元宝、蚂蚁阿福が上位を占める状況が続いた。

調査会社QuestMobileによると、千問の1日アクティブユーザー数(DAU)は7352万人に達し、豆包に迫る水準まで拡大した。

■規制当局が是正要請

一方、競争の過熱に対し、中国国家市場監督管理総局は2月13日、主要プラットフォーム7社を呼び出し、独占禁止法や価格法など関連法規の順守を求めた。過度な販促競争の是正を促している。

■今後の焦点

今回の紅包競争は、生成AIを消費行動と直接結びつける試みとして一定の成果を示した。特に地方都市への浸透は、中国におけるAIの大衆化が新たな段階に入ったことを示唆する。

もっとも、巨額補助金に依存した利用拡大が持続的なサービス定着につながるかは不透明だ。今後は補助金終了後の利用維持率や収益化モデルの確立が焦点となる。競争は量的拡大から質的競争へと移行する可能性がある。

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