台湾の無人コンビニ。スマートデバイスを利用した過去の取り組みと今後について。

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台湾の無人コンビニ。過去2年のファミリーマートの取り組みと今後。

 

台湾ファミリーマートは科技概念店(テクノロジーコンセプト店舗)を2年運営し、各種最新のスマート小売デバイスをテストしてきました。現在、一部のスマート販売機の使用を拡大し「簡配店」を運営しています。これらのテクノロジーはクローズドマーケット進出における大きな武器となります。

※クローズドマーケット・・・オフィスビル、病院、学校、ホテル、官公庁等の限られた商圏。マーケットは小さいが、競合が少なく、リピート率が高い。

 

スマート小売の概念は何年も前からありましたが、2020年になってからより多くの業者が導入するようになりました。デバイスにはスマート販売機も含まれており、無人のテクノロジーコンセプト店の運営が試験的に始まっています。台湾コンビニ界最大手の統一超商(7-11)は2020年の年末に全台湾においてスマート販売機を1000台導入する予定です。量販店最大手のカルフールもまた来年500人以上の規模のオフィス商圏(クローズドマーケット)にてスマートデバイスを導入することを予定しています。また、美聯社もまたオフィス商圏に無人コーナー(Office Mart)を設け始めており、年末前には50のオフィス商圏に進出する予定です。

現在、各小売業者はクローズドマーケットのパイを奪い合っており、ファミリーマートもまた台北本社ビル内で無人の「簡配店」を運営しています。

情報本部長の洪秀佳は「ファミリーマートのアドバンテージはその他の業者と比較して店舗同士が密集している点にあり、店員による店舗メンテナンスや品物補給の速度が速いです。また、ファミリーマートの会員は1300万人ほどおり、客はファミリーマートアプリの使用に慣れてきているため、簡配店を打ち出すにあたり、まずはオフィスビルに出店し、クローズドマーケットのパイを占めることができます。」と述べています。

 

2年かけて無人の「簡配店」を生み出す。次の一歩はオフィス商圏への進出。

2018年、ファミリーマートはテクノロジーコンセプト店舗の1号店を開き、続いて2019年には2号店を開きました。どちらの店舗にもかつての店舗では導入したことのない10種類以上のテクノロジーデバイスを設置しており、設置コストは1000万元以上にのぼります。

当初、テクノロジーコンセプト店の核心的な目標は「無人店」の運営ではなく、これまでとは異なるテクノロジーを用いて店員の労働量を減らし、さらには顧客により快適な消費体験を提供することでした。この目標に基づき、これまで各種テクノロジーをテストし、いくつかのテクノロジーを最適な店舗に配置してきました。

今日、品物補給推薦システムは全台湾のすべての店舗に、IoT管理デバイスは500の店舗に、スマートコーヒーマシーンは60の店舗に導入されており、セルフ会計マシーンについてはすでに50台を導入しています。安定・成熟したテクノロジーデバイスは次第に増えてきており、ファミリーマート簡配店の雛形がゆっくりと完成してきています。

「実は簡配店の構想は2号店ができた時に始まったものなのです」と洪秀佳は述べました。

 

6月、ファミリーマートは正式に台北本社オフィスビルにて無人簡配店のテスト運営を始めました。簡配店はスマートコーヒーマシーン、セルフ会計マシーン、映像分別検出コーナー、ヒューマンフロー分析撮影機などを導入しています。スペースは5.5坪であり、品数は約400点、ドリンク・お菓子・新鮮食品・冷凍食品などを取り揃えています。客はファミリーマートアプリにある会員コードを利用して店に入り、商品を選んだ後に自分でコードをスキャンして会計を済ませます。アプリで購入済みのコーヒーをスマートコーヒーマシーンを利用して自分で受け取ることもできます。

この簡配店はファミリーマート中賓店により運営されており、カメラが売場の商品がなくなったことを確認したり、スマートコーヒーマシーンがコーヒー豆やミルクなどがなくなったことを確認すると、中賓店へ要補充の通知が届きます。

洪秀佳は「半年間のテストを経て無人簡配店は中賓店の約10%の売上を占め、雨の日は約15%を占めることが分かりました。今後は簡配店をキャンパス・オフィス商圏・サービスエリアなどのクローズドマーケットに展開していく予定です。なお、現在は2〜3のオフィスビルへ出店する計画を進めています。」と語った。

 

来年、スマート販売機・無人店舗管理システムを導入し、店長が品出しを1回だけすればOK

昨年、ファミリーマートはテクノロジーコンセプト2号店を開いたとき、一気に4つのスマート販売機を設置して注目を浴びました。それからすでに1年が過ぎようとしており、ファミリーマートのスマート販売機は16台にまで増えています。また、それらスマート販売機の設置ポイントは大学・交通の要所・学術単位に及んでいます。

1年の観察を経て、ファミリーマートは商品を展示できる「シースルーショーウィンドウスマート販売機」と「2層温度スマート販売機」がより市場に受け入れられることが分かりました。よって、今後はこれら2つのデバイスをメインで設置していく予定です。

現在、「2層温度スマート販売機」は2.0バージョンが開発されており、多種多様な食事の組み合わせが可能になっています。例えば、1回で牛乳とおにぎりの両方を購入でき、既存店舗と同様にセット購入の割引が受けられます。

今後はスマート販売機と無人簡配店の2大テクノロジーを各クローズドマーケットに導入して店舗の売上を伸ばします。

来年以降スマート販売機と無人簡配店システムのクオリティを伸ばし、いずれは店長が一つの管理システムで売場の品数を簡単に把握できるようにしていきます。将来的には各マーケットの特徴に基づき、売上が最大になるよう効果的にデバイスを配置していく予定です。

参考記事:全家攜無人店、智販機兩大武器進軍辦公商圈!科技店實驗兩年有哪些創新?

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