RCEP(東アジア地域包括的経済連携)とは?台湾未加入で台湾自身へはどのような影響が?

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RCEP(東アジア地域包括的経済連携)とは?台湾未加入で台湾自身へはどのような影響が?

 

ASEAN 10カ国、中国、日本、韓国、オーストラリア、ニュージーランドが「RCEP(東アジア地域包括的経済連携)」に署名しましたが、台湾はRCEPに加盟していません。台湾が加入しないことで、台湾自身へはどのような影響があるのでしょうか?また、なぜインドはRCEPを脱退したのでしょうか?

台湾メディアの内容を元に、台湾の視点でRCEPについてまとめました。

 

RCEP(東アジア地域包括的経済連携)とは?なぜ加入国が多いのか?

RCEPは「Regional Comprehensive Economic Partnership」の略です。これはASEANが提起した地域自由貿易協定になります。メンバー国間では10年間は9割以上の輸出品の関税をゼロにする必要があります。また、RCEPの協議内容は関税を引き下げる以外にも、貿易、サービス、経済技術協力、投資、知的財産権、競争政策などその他の経済関連の議題にも及びます。

中華民国(台湾)経済部長である王美花は、他国同士が減税のアドバンテージを有しているということは、台湾の機械・プラスチック・鉄鋼・紡績などの伝統産業の輸出に大きな影響があると述べています。また、中華経済研究院台湾東協研究センターの主任である徐遵慈は「台湾・中国・日本・韓国の産業の性質や競争力は近く、なかでも石油化学・自動車部品・機械などは特に似ている。現在、業界で最も関心があることは日中韓の三ヶ国が関税を下げたとき、台湾にとって大きなマイナスとなるということだ。」と述べています。

 

RCEPはなぜ重要なのか?

RCEPは今のところ世界最大規模の自由貿易協定です。また、中国が加盟する最初の大型自由貿易協定でもあります。メンバー国は15カ国にのぼり、その人口の合計は約21億人で、GDPの合計は約25.6兆米ドルとなり、貿易量は世界の27%を占めます。

<日本経済新聞>は、RCEPに署名した後、全世界の貿易戦略を改めさせる機会をアジアにもたらすと述べています。また、<ニューヨークタイムズ>は、RCEPは中国の域内における経済的影響力を高めることになると述べています。

 

RCEPはどのようにしてできたか?

ASEANのアジアにおける貿易地位を高めるため、2011年11月に「RCEPのためのASEANフレームワーク(ASEAN Framework for RECEP)」が可決され、2012年にはメンバー国を増やしました。

 

RCEPにはどのような国が加盟している?

ASEANはまずASEAN各国とFTA(自由貿易協定)を結んでいる国(中国、日本、韓国、インド、ニュージーランド、オーストラリア)などを招待しました。

7年の協議を経て、インドが2019年に脱退を宣言します。これにより、最終的なRCEP加盟国は、インドネシア、マレーシア、フィリピン、タイ、シンガポール、ブルネイ、カンボジア、ラオス、ミャンマー、ベトナム、中国、日本、韓国、オーストラリア、ニュージーランドの15カ国となりました。

インドのモディ首相は「RCEPはインドの核心的利益に合わない」と述べています。これは推測ですが、中国とインドはメンバー国の中では人口とGDPが最大クラスの国であり、現在の中国の生産力及びインド製品の中国への輸入の比率と、インドの生産力及び中国製品のインドへの輸入の比率を比べたとき、中国の廉価な製品が大量にインドに入ってくる可能性があり、インド市場を脅かす可能性があるため脱退したと考えられます。

 

RCEPに加入しない台湾には厳しい未来が待っている?

アジアに位置しているのにRCEPに加盟しない台湾にはどのような未来が待っているのでしょうか?

中華民国(台湾)経済部は11月16日、「台湾とRCEPの主要なメンバー国との間には安定した経済協力関係があり、今のところ台湾がRCEPメンバー国に輸出している品目の70%以上が関税無しであり(情報通信製品がメイン)、その他課税される製品は輸出貿易額の30%にも達しない。その上、RCEPの減税リストを確認したところ、中国は多くの品目において日本や韓国に対して減税をしておらず、もしくは10年以内にゆっくりと減税する計画であり、短期的には台湾への影響は大きくないと考えられる。」と示しました。

RCEPは日中韓の間における最初の自由貿易協定(FTA)です。中華民国(台湾)経済部は、RCEPが台湾に与える最大の影響は「中国と日本」「日本と韓国」の二つの新たな自由貿易関係であり、日中韓の市場における台湾製品への競争圧力を高めることになると述べています。中華民国政府は国家の利益を高めるため、 CPTPP(環太平洋パートナーシップ協定)や台湾の主要な貿易パートナーとの間で署名する経済貿易及び投資協定に積極的に加盟していくべきとしています。

 

CPTPP(環太平洋パートナーシップ協定)とは?

CPTPPはアジア太平洋エリアにおける自由貿易協定の一つであり、「Comprehensive and Progressive Agreement for Trans-Pacific Partnership」の略です。

メンバー国は、日本、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド、シンガポール、マレーシア、ベトナム、ブルネイ、メキシコ、チリ、ペルーの11カ国であり、そのうち日本、シンガポール、マレーシア、ベトナムは台湾の10大貿易パートナー国に入っています。

中華民国(台湾)行政院経貿談判オフィスは、もし台湾がCPTPPに加入することができれば、輸出市場を拡大し、少なくてもGDPが0.52%は成長すると述べています。現在、台湾内の各界からCPTPPへの加入を支持する声が上がっており、その上、CPTPPもまた新たなメンバー国を歓迎する態度を取っています。今のところ、台湾政府は日本を通してその他のCPTPPメンバー国と対話する機会を得ることを積極的に試みています。

 

引用元:https://www.bnext.com.tw/article/60222/asean-rcep-cptpp-taiwan

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