今回は、台湾のテック系ニュースメディア”數位時代”に掲載された2025年の台湾小売業に関するまとめ記事をご紹介します。
2025年の台湾小売業は売上高4兆8,448億台湾ドル(約23.85兆円)であり、前年比0.2%減で、過去25年間で3度目となる通年マイナス成長を記録しました。消費者物価指数(CPI)が1.7%上昇する中での微減は、実質的な消費動能が数字以上に減退していることを示唆しています。では、実際にどのような業界が好調でどのような業界が不調だったのでしょうか?2025年の小売業界の動向を詳細にまとめました。
【目次】
業態別の二極化:生活支援型 vs. 非必需品
実店舗市場は前年比0.4%減で、4兆2,688億台湾ドル(約21.03兆円)となりました。
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好調(生活支援型): コンビニの市場規模は4,420億台湾ドル(約2.18兆円)となり、これは前年比4.4%増で、スーパー・量販店の市場規模は5,272億台湾ドル(約2.6兆円)となり、これは前年比3.7%増で、いずれも過去最高を更新しました。
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不調(専売店): 自動車・バイクの市場規模は8,432億台湾ドル(約4.15兆円)となり、これは前年比7.5%減でした。参照元の記事には、政策の不透明感による買い控えで大幅下落したとあります。なお、衣料品や家具も、海外旅行への支出分散や不動産市場の停滞により、軒並み2%を超える減少となりました。
ECの進化:浸透率13.86%とOMOの深化
全体が足踏みする中、オンライン販売の市場規模は2.8%増で6,716億台湾ドル(約3.31兆円)となり、逆風下で成長を維持しました。これにより、小売全体に占めるECの割合は2022年に次ぐ過去2番目の高水準(13.86%)に達しました。
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クイックコマースの台頭: 密集した店舗網を持つ総合小売業が「即時配送」を武器にネット売上を7.1%伸ばし、OMO(オンラインとオフラインの融合)が有効であることが証明されたと言えるでしょう。
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チャネルの役割分担: パソコンやスマホ・家電や衣料品では、中低単価品がECへ集中。実店舗は「専門的な体験・展示・アフターサービス」を提供する拠点へとその役割を変えています。
伝統的販路の危機:テレビショッピングの凋落
無店舗販売の中でも伝統的なテレビショッピングや直販業は7.8%減と急落し、市場規模は1,000億台湾ドル(約5,000億円)の大台を割り込みました。客と商店の双方向のコミュニケーションや高いデジタル利便性を備えたECに、かつての単方向的な販売モデルが完全に代替されつつあります。
台湾の小売業の低迷は外資系ECサイトの台頭にも一因があり?
また、同じく台湾メディア”數位時代”に掲載されていた以下の記事をご紹介します。
台灣人不愛買東西了嗎?真相是:一年幾百億新台幣,默默流向淘寶、拼多多!(台湾人はもう物を買わなくなったのか?真相は、年間数百億台湾ドルがひそかに淘宝(タオバオ)や拼多多へ流れていることか!)
台湾では昨年、内需型小売産業が低迷し多くの上場小売企業で業績悪化や株価の伸び悩みが見られたことはすでに述べました。その要因として「海外ECを通じた消費の流出」が一部では囁かれています。この記事によると、海外から台湾に届くネット通販の荷物は急増しており、業界推計では月に約200万〜300万個が届いており、その大半が中国大陸からだといいます。平均4kg前後の荷物がこれだけ流入していることを考えると、年間では数百億台湾ドル規模の消費が台湾国内ではなく淘宝や拼多多などの中国系ECに流れている計算になります。
問題はこの資金が台湾の経済循環に戻らない点です。本来であれば消費は仕入れや雇用を通じて再投資されより大きな経済効果を生み出していたはずです。しかし、その循環が細くなりつつあるのです。この記事はこの流出が緩やかなものではなく、ネット時代によって加速している点に警鐘を鳴らしています。小さな消費の積み重ねが気づかないうちに小売市場全体の体力を奪っていると指摘しているのです。海外ECの利便性を認めつつも、この記事の筆者は将来的に台湾のEC市場の主流が外国プラットフォームだらけになることへの懸念を示していました。